不妊症の治療方法

新しい卵巣機能低下の回復法

当院では、卵巣機能の低下した症例に対する治療を2016年より開発しております。

適応

適応は高齢となり発育する卵胞数が1、2個と少なく、また採れた卵子のグレードが低く受精率が低いまたは分割率が低く移植ができない方です。ただし条件として毎月規則正しい月経と排卵があることが条件です。※閉経された方、1個も卵子が採れない方は対象となりません。
2つ目の適応は年齢が30歳代で卵が1~2個しかできないAMH(抗ミュラー管ホルモン)が非常に低いような方。
3つ目は子宮内膜症などで手術を行い、年齢は30歳代でもAMHが低く卵胞があまり発育しない方たちを適応としております。

治療法

2泊3日(または3泊4日)で全身麻酔下の腹腔鏡で行い、手術時間は約1時間で終わります。2泊か3泊かは卵巣の状態をみて決めます。萎縮がひどい場合は3泊の方法が効果的です。
腹腔鏡下に卵巣の表層部分(ここに卵子があります)を一部切除、または卵巣表面に切開を加える物理的刺激によって、卵巣を刺激して、原始卵胞や一次卵胞を二次卵胞に発育させるものです。
現在では、物理的刺激に加え、効果が高まることが期待される血小板および卵胞液の中にある成長因子を加えて培養をしております。
直接卵巣内にPRP(血小板内成長因子)を注入する方法も行いましたが、卵巣が委縮しており十分に注入することは困難でした。
賦活化法 実際の流れ

結果

卵子の数が約2倍に増加すること、分割率も高くなるという結果が得られております。
この方法を行った結果、26例が臨床妊娠、9例が出産に至っています(※2023年2月時点)。
妊娠率はある程度良い結果となりましたが、流産率が高く、未成熟な卵子でも既に老化が始まっていることが推測されました。
しかしながら過去に一度も移植できなかった症例に出産例が報告された為、臨床する意義があると考えます。

女性は約50歳時に卵巣機能が低下し閉経となりますが、これは生理的な現象であり、決して何かが欠損していたり、卵巣機能に問題があったりするわけではありません。しかし、妊娠するためには最も条件の悪い状況に向かってきておりますので、なるべく早い時期にこの治療法をお勧めしたいと思います。

同意説明文書は、こちらのPDFをご覧ください。

費用は自費(入院費、治療費を含め)で2泊は40万円、3泊は45万円です。手術当日に別の検査(採血等)を行った場合は別途費用が掛かります。(※2023年2月27日時点)。

 

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