排卵誘発
卵巣刺激ともいいます。
排卵誘発剤と呼ばれる飲み薬や注射を使用して卵巣を刺激し、卵子の発育を促すことです。
排卵について
卵巣から排卵される卵子の数は、一般的に毎月1個だけですが、実際にはその1個以外にも多くの卵胞が発育しています。
排卵される卵子に選ばれるのは「主席卵胞」と呼ばれる「最も発育の進んだ卵胞」のなかにあったもので、主席卵胞以外は栄養として体に吸収され消失します。
排卵誘発の目的とは、本来消失される主席卵胞以外も「排卵を誘発」するために刺激を加えて発育させることです。
そうすれば、良質な卵子を数多く採取することができ、治療の成功率は大きく上昇します。
つまり、排卵誘発とは、治療の成功率を大きく左右する要因の一つといえます。
排卵誘発法の種類と選び方
排卵誘発は、単に「多くの卵子が育てればいい」という訳ではありません。
多く育ちすぎると卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの副作用のリスクが高まります。
また、多すぎても少なすぎても、質の良い卵子の数は少なくなる傾向があります。
理想的な排卵誘発は、10個前後の粒ぞろいの卵子が育つことです。
当院では、患者様お一人お一人の状態に合った「最良の排卵誘発法」を選ぶため、20通り近くの様々な方法を考案しております。
排卵誘発法を選ぶ基準
- 年齢
- 月経3日目までの左右卵巣内の胞状卵胞の数と大きさおよびホルモン値(E2,LH,FSH)
- これまでに行った排卵誘発法とその結果
代表的な排卵誘発法
低刺激法 | 調節刺激法 |
---|---|
など |
など |
自己注射について
排卵誘発のための注射は、必ず病院で受けていただく必要はありません。
遠方であったりお仕事で都合が合わなかったりする方には、自己注射をお勧めすることがあります。
ただし、安全面には十分に注意しなければなりませんので、当院での説明と指導を受けられた方しか自己注射することはできません。
なお、排卵誘発中は卵胞のサイズ、卵巣の様子をモニター(観察)しなければなりませんので、近医での診察は受けていただきます。当院は、全国各地の病院と連携しているため、なるべくお近くの病院をご紹介することができます。
※「自己注射」と「病院での注射」によって、治療の結果に差が出ることはほとんどありません。
日本産科婦人科学会の調査では、『自己注射でも通院治療と同等の効果が得られる』と結論づけています。
排卵誘発剤に対する誤解
- 癌になりやすい?→WHOの調査結果では、因果関係はなしとされています。
- 閉経が早まる?→卵胞の数は出生時に存在する約200万個の原始卵胞から増えることはなく、思春期の頃には 30 万個、38 歳では 3 万個、閉経期には 1,000 個未満となります。
閉経を迎えても使えきれていない卵子がいることから、排卵誘発剤で卵子を多く発育させたところで、閉経を早めることには影響しないと考えられます。