子宮内膜症(卵巣嚢腫)
症状
子宮内膜症は原因不明の婦人科疾患です。
「子宮内膜」とは受精卵が着床するベッドのような場所のことで、本来子宮内にしか生成されないのですが、これが骨盤や腹膜表面、子宮の筋層内、卵巣など、他の場所にも生成されてしまうことを子宮内膜症といいます。
子宮内膜症には、まるで癌のような3つの特徴があります。
①完治しない
②再発しやすい
③症状が必ず進行する
また、内膜が転移する場所によって症状は異なり、卵管閉塞や卵管周囲癒着、子宮腺筋症など様々な症状を引き起こします。
そして、転移先として最も確率の高い場所は卵巣で、「卵巣嚢腫」と呼ばれます。
卵巣嚢腫
卵巣嚢腫には、卵巣内に古い血液が貯蓄して徐々に腫大していき下腹部痛などを引き起こす他、卵巣の正常な部分が失われるなどの症状が挙げられます(卵巣に貯蓄した血液の色から「チョコレート嚢胞」とも呼ばれます)。
子宮内膜は低温期が薄く、高温期が厚いという周期的変化がありますが、卵巣嚢腫にも同様の変化が現れます。
そして、子宮内膜ならば月経時に排出されますが、卵巣に生成された内膜は排出できないため貯蓄されてしまうのです。
さらに、卵巣嚢腫のサイズが7cm以上と大きくなった場合には短命細胞癌に癌化することが報告されていますので、摘出手術が優先されます。
治療法
①内科的治療…GnRHアゴニストや黄体ホルモンなどを投与して卵巣嚢腫の発育を抑える
②外科的治療…腹腔鏡検査または開腹手術にて摘除
③アルコール固定…アルコールで卵巣内を洗浄する
原則的には②を行います。
①は完治することはありません。
治療期間にも限界があり、GnRHアゴニストであれば約半年間しか治療できません。
黄体ホルモンであれば継続的に治療できますが、不正出血などの副作用を伴うことがあります。
③は「開腹しない」、「外科的操作を必要としない」といった特徴がありますが、治療適応となるには条件があります。
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