不妊症の原因

多嚢胞性卵巣(PCOとPCOS)・卵巣過剰刺激症候群

多嚢胞性卵巣(PCO)

PCOとは、超音波下での卵巣所見にネックレスサインが認められる症状を指します。
このネックレスサインの正体は、10個前後の小さな卵胞です。
これにより卵巣表面は硬くなり、排卵が十分にできなくなります。

多嚢胞性卵巣(PCO)

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

PCOのような卵巣所見に加えて、月経異常・排卵障害やホルモンの異常に伴う諸症状(肥満や多毛、糖尿病など)が見られる病気のことを指します。
月経異常とホルモン異常の有無が、PCOとPCOSの大きな相違点です。

多嚢胞性卵巣
(PCO)
多嚢胞性卵巣症候群
(PCOS)
月経異常・排卵障害 なし あり
超音波所見 卵巣にネックレスサイン(小さな卵胞10個以上)を認める
ホルモン値 全て正常 以下の3つを満たす
①テストステロン(男性ホルモン):高値
②LH(黄体化ホルモン):7mIU/ml以上
③FSH(卵胞ホルモン):正常

PCOとPCOSの症状

卵巣の表面が硬くなっているため、クロミッドなどの飲み薬では排卵誘発が効きにくく、採卵個数が少なくなります。
かといって注射を使用すると10個程度の卵胞が急に大きくなってしまうため、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を引き起こす可能性が大いにあります。
OHSSについてはページ下部をご覧ください。

PCOとPCOSの治療法

①2型糖尿病・肥満の解消

糖尿病薬(メトホルミン)を服用しながら、栄養外来(参照:肥満)でBMIが25以下になるようにします。
体重が正常域に戻るだけで、自然排卵して妊娠できることがあります。

②内科的治療

飲み薬(クロミッド)で排卵するかを試みます。
排卵できればタイミング法人工授精体外受精を行うことができます。
排卵しなければさらに注射を追加投与し、そこでOHSSが発生するならば③卵巣ドリリング法や④凍結胚移植に移ります。

③卵巣ドリリング法(PCOSのみ)

腹腔鏡検査と同様の術式にて、固くなった卵巣の表面を焼灼して小さな穴をぽつぽつあける手術です。
手術を行った方のうち6割が自然で、4割がクロミッドなどの飲み薬で排卵が起きることが認められています。
しかし、手術の効果はおよそ1年半でなくなってしまいますので、その期間しか自然妊娠もしくはタイミング法人工授精による妊娠はできません。
なお、効果が消えたとしても、再び手術を行うことはできます。

※卵巣ドリリング法はPCOSに対しては最も効果的ですが、PCOに対して行うと卵巣機能が廃絶してしまう恐れがありますので、確実な鑑別のもとに行うよう注意が必要です。

凍結胚移植

採卵周期の移植は避けて、受精卵を一度凍結してから翌周期以降に移植します。
PCOまたはPCOSに対する治療としてではなくとも、一般的に採卵周期移植より凍結胚移植の方が妊娠率は高くなるため、有効な治療法です。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

卵巣過剰刺激症候群(OHSS) 主に排卵誘発を行ったことが原因で、採卵(排卵)後に卵巣が腫れる副作用です。
PCOまたはPCOSだと、発生率は特に高くなります。

<OHSSの症状>

  • 腹部の膨満感、下腹部痛、上腹部痛(胃の痛み)
  • 胸水がたまって咳が続く、呼吸が苦しくなる
  • 総尿量がかなり減少する
  • 血栓症(多量の水分が腹水へ移行するために、血液中の水分が減少して濃縮された状態となり、微小血管内に血液がつまる)

OHSSの発症が予想される方に対しては、連日で当院に通院していただくか、入院にて管理させていただきます。
遠方の方であれば、地元の病院にてOHSS管理をしていただけるよう、当院から情報提供書をお渡しすることもあります。

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