不妊症の治療方法

アルコール固定 -卵巣嚢腫に対して-

アルコール固定アルコール固定とは、卵巣嚢腫に対して行う治療法の一つです。
(経膣的もしくは経腹的に)卵巣へ針を刺して、『卵巣内容液を吸引してエチルアルコール(または抗生物質)を注入する』という作業を数回繰り返します。
これにより、卵巣内を洗浄できて、卵巣内壁に存在する内膜症細胞を変性、壊死させることができます。

※卵巣嚢腫が悪性であれば、悪性細胞をお腹の中に播種してしまう(ばら撒く)ことになり、大変危険です。
アルコール固定を行うにあたっては、十分な検査(超音波検査・MRI・血中腫瘍マーカー)を行い、「良性腫瘍」であることを確認しなければなりません。

特徴

  • 開腹しないため、外科的操作を必要としない(手術の痕が残らない)
  • 成功率は約60%
  • 再発率は30~40%と高い(複数回アルコール固定を行うことで10~20%まで抑えることができる)
  • 保険適用となる
  • 日帰り(もしくは翌朝退院)可能
  • 手術当日に腹痛や気分不良がしばしば認められる

アルコール固定の適応となる方

  • 卵巣嚢腫のサイズが5cm未満で若い
  • 未婚、もしくは結婚しているがまだ妊娠を希望していない
  • 卵巣嚢腫が悪性腫瘍でない

適応に当てはまらない、または「アルコールが卵巣から漏れることが予測される」場合は、腹腔鏡検査での摘除をお勧めいたします。
ただし、手術によって卵巣嚢腫を摘除すると、薄く伸びきった「残された正常卵巣組織」の毛細血管内で、血流障害が発生して数日のうちに細胞が壊死してしまう恐れがあります。
そのため、手術をした卵巣側からは卵胞が発育しなくなる事もあります。

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