何度も治療したけど失敗する場合
体外受精を何度繰り返しても、なかなか妊娠できないことがあります。
当院では患者様おひとりおひとりに合ったオーダーメイドの治療をご提供できるように、多様な治療法をご用意しております。
卵子の質がよくない
- 排卵誘発を見直しましょう
当院では患者様の状態に合った「最良の排卵誘発法」を選ぶため、20通り近くの様々な排卵誘発法を考案しております。 - 卵管内移植を試してみましょう
左右どちらかの卵管が通っており、子宮内膜が8mm以上ある場合には、卵子の質がそこまで高くなくともGIFT法やZIFT法などで妊娠できる可能性があります。
子宮内膜が厚くならない
- 胚の移植方法を凍結胚移植にしましょう
採卵周期(排卵誘発を行った周期)は誘発剤の影響により内膜が厚くなりにくいことがあります。そのような場合には、受精卵を一旦凍結させて子宮を休ませてみましょう。
良好な受精卵を移植しても妊娠しない、原因不明
- 自然周期での凍結胚移植
この治療法には適応となるための条件(月経周期が規則的、凍結に耐えうる胚など)がありますが、ART(高度生殖医療)における最も妊娠率の高い方法であると考えられます。このことは、当院の治療成績にも表れています。 - 子宮鏡検査で子宮内の様子を確かめてみましょう
良好胚が着床しない原因には、子宮内膜上に小さなポリープがある、もしくは子宮内膜が不規則に発育しているなどが考えられます。子宮鏡検査で内膜をきれいにリセット(整地)すれば、着床率の向上が期待できます。 - アシステッド・ハッチングで受精卵の発育を補助しましょう
良好な受精卵でも、透明帯(受精卵の殻)が硬いために発育が妨げられている場合があります。良好な胚を何度移植しても妊娠しない場合には、ハッチング(孵化)できていないことが原因として考えられるため、アシステッド・ハッチングは有効です。
特殊な治療方法
EmbryoGlue®
- EmbryoGlue®とは、ヒアルロン酸を豊富に含んだ培養液で、胚移植をする際に使用します。
ヒアルロン酸によって胚の着床を促すことが期待されています。
二段階胚移植法
- 培養日数の異なる胚を、同一周期に移植する方法です。まず、培養2~3日目の受精卵(4~8分割の初期胚)1個を子宮内へ移植し、残りの胚は培養を続けます。この間、先に移植した初期胚が着床準備を始めるよう子宮内膜に働きかけ、子宮内は着床準備の整った環境になります。そこに、培養5日目で胚盤胞に到達した胚を1個移植します。
着床率が高くなる効果については賛否両論です。
SEET法
- 凍結胚移植日の前日に「培養液」を融解して子宮内に移植し、その翌日、胚盤胞も融解して移植する方法です。
一般的な凍結胚移植は、受精卵を培養し、胚盤胞へ到達してから凍結保存しますが、SEET法では、受精卵の培養に用いていた「培養液」も凍結保存しておき、胚盤胞と共に融解して移植します。
培養液には胚から放出された物質を含んでいますので、これが子宮内に作用して着床を促す効果が期待されます。
着床機能を調べる特殊検査
- リンパ球混合培養
自己(自分)と非自己(他人・配偶者)の遺伝的背景の異なる二個体のリンパ球を一つの試験管内に混合して培養し、それぞれのリンパ球が相手の細胞を非自己と認識して幼弱化反応が起こる現象を測定する方法です。つまり、奥様に抗夫リンパ球抗体がどれだけ存在するかを調べる検査です。 - NK細胞活性
NK細胞とは、白血球の一種で、外部からの細菌などの侵入を防ぐ役割があります。妊娠するとNK細胞活性が抑えられる仕組みになっています。
しかし、妊娠してもNK細胞の活性が高い状態のままだと、胎児を異物と判断して流産してしまうことがあります。そこで、NK細胞の活性を抑えることで、妊娠の継続に有利に働くと考えられています。