精子の数が少ない・動きが悪い・全く動いていない
症状
精子の数に異常があると乏精子症、運動性に異常があると精子無力症、精子不動症と診断されます。
それぞれ個々の症状のみが見られるのではなく、数の少なさと運動率の低さは併発されることが多いです。
また、奇形精子も併発していることがよくあります。
これらの症状は、睾丸が小さかったりフニャフニャして柔らかかったりする人によく認められます。
検査
精液検査により診断できます。
精液量が多いからといって、良好な精子が多いとは限りません。
数(1ccあたり) | 運動率 | |
---|---|---|
正常値 | 6,000~8,000万匹以上 | 70~80% |
軽度 | 5,000万匹程度 | 50%程度 |
中等度 | 1,000万匹以下 | 20~40% |
重度 | 100万匹以下 | 10%以下 |
※WHOの定める正常値は「1ccあたり2000万匹以上」とありますが、これは「妊娠した人の中で一番少なかったのが2000万匹だった」という意味です。
治療法
①症状が軽い場合:食事療法、内服治療
食生活によって改善されることがあります。
特にニンジン、カボチャなどに多く含まれるカロチノイドは、精子の運動率を改善させる効果があると言われています。
その他にも、漢方などの内服薬で改善されることもあります。
②乏精子症・精子無力症
※2~3回射精して得られる精子が1~2匹しかいない場合、「重度乏精子症」と診断されます。
重度乏精子症に対する治療法としてMESA・Micro-TESEが挙げられますが、当院ではなるべくそれらを避けて治療にあたります。
精液中のごく僅かな精子を探して、特殊な方法で凍結していき、20匹ほど貯まった時点から顕微授精を始めていきます(実際にこの治療法で出産まで至った方もいます)。
「形態正常で運動性のある射出精子」に勝る精子はありません。
③全く動いていない(精子不動症):HOST法
動かない精子のなかから生きている精子を鑑別すれば、治療は可能です。
この鑑別方法をHOST法といいます。