Micro-TESE -非閉塞性無精子症に対して-
Micro-TESE(顕微鏡下精巣内精子回収法)もしくはバイオプシー(精巣生検)ともいいます。
精巣を切り開き、精子がいそうな(太く白濁している)精細管を探して摘み取って、その中から精子(精子細胞)を探し出します。
射出精液中に精子が認められない無精子症であり、かつ閉塞性でないと診断された場合に行う治療法です。
Micro-TESEは1時間以上の時間を要する手術のため、患者様にとって負担は大きいです。
また、2回目以降は精子を得られる確率が著しく低下します。
これらのことから、複数回行うことは極力避けなければなりません。
そのため、当院では以下の2点を特に注意しております。
- (1) 1回の手術でなるべく多くの精子(精子細胞)を見つけ出し、凍結保存するように心がけております。採取する精細管も1か所のみではなく複数個所としております。
- (2)局所麻酔では痛みや不快感が十分にとれないため、全身麻酔(静脈麻酔+局所麻酔)下で行います。ただし、全身麻酔下でも術後の疼痛が1週間ほど続くこともあります。
Micro-TESEを受けるに当たっての流れ・諸注意
- 手術前日の午後11時以降からは絶飲食となります
- 手術当日は午前9時30分にご来院ください(当院お近くにお住まいの方)
- 遠方の方は、前日入院が必要です(2泊3日の入院となります)
- 前日入院のご来院時間は午後4時となりますがもしもお仕事の都合等で
午後4時にご来院が難しい場合には前もってご相談されてください。夜遅くのご来院でも構いません。 - 午後4時までにご来院される方は入院当日の夕食も当院で準備可能です。午後4時以降にご来院の場合にはご夕食はご自分で済ませてからご来院ください。
- シャワーも21時までとなりますのでそれ以降のご来院の場合にはシャワーも済ませてからのご来院をお願いいたします。
- 入院は奥様も同泊が可能ですが、別途料金がかかります。
手術当日は当院に一泊していただきます。(トイレ・シャワー付きの部屋)
手術中は、もし体外受精に入ることができる場合に備えて、治療の流れを奥様にご説明いたします。手術の結果は当日中にお伝えいたします。 - 退院は手術翌日の午前中に可能です。お仕事に復帰できるまでの目安期間は、デスクワークであれば手術の翌々日から、激しい動きを伴うお仕事の場合は2~3日様子を見られてからとなります。
- 手術費用は治療費用をご参照ください(支払方法は現金のみです)
Micro-TESE後の副作用
- 傷口の痛みと腰痛、下腹部の鈍痛が約1週間続きますが、徐々に軽減していきます。
- 手術による内出血で切開部位やその周辺(創部)が腫大して青く変色し、痛みが出ることがあります。多少時間はかかりますが自然に痛みは消失します。ただし、稀に再縫合が(0.1~0.2%の発生率で)必要となります。その際は1週間の入院となります。この治療は保険適用です。
- 縫合部分がしこりのように硬く触れることがありますが、1~2か月で軽減していきます。
- アルコールの摂取は炎症の原因となりますので、術後2~3日は控えてください。
- 男性機能が低下することもありますが、多くの方は短時間で回復します。
当院では、術後の疼痛対策として点滴と坐薬を使用し、ほとんど痛みを感じないようケアしております。
退院後は飲み薬と坐薬を使用していただければ、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。
もし痛みを感じ始めたら、鎮痛剤の服薬もしくは坐薬でおさまります。