日本国内の卵子提供のはじまり

日本国内の卵子提供のはじまり

これまでの日本における卵子提供では、以下の点が問題となっていました。

1. 卵子提供で生まれた子どもが15歳になった時に希望した場合には、卵子の提供者の個人情報を100%公開しなければなりませんでした。
2. 卵子提供者を自分で探してこなければなりませんでした。
3. 実費以外の対価支給は禁止されていました。

これらの制約により、実際に治療を行えるのは卵子提供を希望する約30組に1組に限られているのが現状でした。
15年間の出産数は73例でその間、1年間に台湾やアメリカなどの海外に約1000名が高い治療費(台湾で450万円程、アメリカでは500~600万円程)をかけて治療を行っていました。さらに海外での治療では提供者の情報は全く無く、臨床心理士によるカウンセリングもなく、治療中の患者様の子どもの将来についての心理的負担を軽減するためにも、日本国内での卵子提供が必要であると考えました。

国および日本産科婦人科学会の考え

2020年頃から議員連盟により特定生殖補助医療に関する法整備の検討が始まり、有用性は承認されていました。通常国会で審議開始の予定でしたが、廃案となりました。

日本生殖医学会および日本産科婦人科学会も、ほぼ同時期に特定補助医療に関する声明を出し、その方向性は法案と一致していました。すなわち、卵子提供者の個人情報全面開示は不要とする立場です。ただし、将来的には欧米の先進国のように個人情報の開示に向けて進んでいくと思われます。
また、民法の親子法(2020年)に基づき「出産した女性を母、夫を父とする」という法制度が確立し、家族関係が憲法で保障されることも卵子提供をバックアップしています。

当院でのアンケート結果

当院では過去15年間に42例の卵子提供による出産があり、そのうち連絡の取れた32名にアンケートを実施しました。結果として、ほぼ全員が「提供者の個人情報の全面開示は不要」と回答し、また卵子提供者への医療費・補償費として約30万円を給付することは妥当と認識していました。
さらに、卵子提供で生まれ、中高生となった2名のお子様にも直接確認したところ、いずれも「提供者が誰かは知っているが、会いたいとは思わない」「知らなかったとしても会いたいとは思わない」と答え、少数ではありますがこの方法の妥当性を裏付ける結果を得ました。

提供者への補償費について

卵子提供者には、1週間から10日に及ぶ排卵誘発注射、麻酔下での採卵、採卵後の副作用や将来的な卵巣機能への懸念など、身体的・心理的負担が伴います。
そのため、実費(採卵するまでにかかった交通費、食費、宿泊費およびお仕事を休まれた日当代)とは別に医療補償費として原則30万円を給付します。

記録の保持・保管について

法案では、成育医療センターにおける100年間の記録保存が規定され、予算も計上されていました。
同様の義務を日本産科婦人科学会も義務付けています。

最後に

我々の卵子提供は独自のものではなく、国の政策および学会の方向性に沿ったものです。出自を知る権利の中でも、説明を十分に聞き、生まれてきたお子様へのテリング(卵子提供で生まれたということ、遺伝学上の母親が違うということをお子様に伝えること)が必要となります。

卵子の提供をお考えの場合

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