「お子さんを望んでいるのに、なかなか妊娠できない。」「不妊かな?と悩んでいるのに、婦人科は敷居が高く、病院をたずねることができない。」そんな女性はたくさんいらっしゃることと思います。
一般的には、結婚して2年たっても子供ができない場合、不妊というようです。
しかし、状況にかかわらず、お子さんがほしいのになかなかできないのならば、思い切って、ぜひ一度、婦人科を受診することをおすすめします。
なぜ?
それは、妊娠するには、必要な物理的条件があるからです。
まず、妊娠するには、正常な夫婦生活が必要です。
射精された精子は、膣、卵管を通って、排卵後に卵管内に取り込まれた卵子と出会わなければなりません。受精した卵子は、分割をすすめ、子宮の内膜に着床し、成長をして、初めて赤ちゃんになるのです。
つまり、妊娠するには、
- 正常な夫婦生活ができ
- 夫婦生活が排卵のタイミングにあっており
- 射精された精子が元気で
- 女性の卵管に詰まりがなく
- 卵子が作られ、卵巣から卵子が排出され
- 卵管内に卵子を取り込むことができ
- 受精して分割がすすみ
- 子宮の内膜が着床できる状態である
必要があるのです。
妊娠するということは、たくさんの条件がそろってはじめてできる、とても神秘的なことなのです。
どんなに健康な方でも、外見や体調からでは、おなかの中で何が起きているかはわかりません。生理不順など、不妊の原因としてわかりやすいものもありますが、赤ちゃんができにくい原因には、日常生活で、身体的な不調や病気として感じられないものも多いのです。
たとえ健康に自信があっても、赤ちゃんをつくる仕組みがきちんと働いているかを確かめるには、医学的な検査が必要です。
ですから、もし、あなたが赤ちゃんをほしいと望んでいるのなら、今、このときが、病院をたずねるタイミングかもしれません。
産婦人科は決して敷居の高いところではありません。「不妊治療を受けに行く」のではなく、まず、「夫婦の身体が妊娠に適した状態かどうかチェックしに行く」くらいの気持ちでどうぞ。
そして、万が一、問題が見つかったとき、または、より早く赤ちゃんがほしいと思っている場合に、不妊治療では医学的な方法を利用して、ちょっとだけ、あなた方に赤ちゃんを神様から授けていただくお手伝いをするのです。
特に、下記に該当する方は、お早目にご来院いただくことをおすすめします。
20代なら2年、30代なら1年たっても妊娠しないとき
過去に開腹手術を受けたことのある方
生理が不順な方
高齢で結婚した方 (奥様が40歳以上の場合は、高度生殖医療もお読み下さい)
睾丸が小さい、またはやわらかい方
夫婦生活がうまくできない方
不妊の原因は、大きく分けて、女性にある場合(30〜40%)、男性にある場合(30〜40%)、両方にある場合(15〜30%)、そして、原因不明(5〜10%)と、4つに分かれます。
しかし、よく検査をしてみると、原因が全く見つからないという不妊症は、ほとんどないといえるでしょう。治療には、きちんと順序立てた検査が必要なのです。
排卵障害がある、または排卵していても卵管内にとりこめない場合
◆ 脳下垂体・視床下部の中枢・子宮・卵巣などの問題で、ホルモン分泌がうまくいかない。
ホルモン濃度は、血液検査でわかりますので、どこに原因があるのかを調べることができます。
過去に開腹手術(子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫・子宮外妊娠・虫垂炎など)を受けたことがあったり、子宮内膜症、クラミジアなどの腹腔内腹膜炎などの炎症を経験している人は注意が必要です。
腹腔鏡検査などので詳しい検査が必要になります。
卵管に問題がある場合
◆ 卵管がない。
子宮外妊娠で、両方の卵管を摘出しているなどです。
◆ 卵管が詰まっている。(卵管閉塞)
クラミジアや淋菌などの性病が主な原因になります。
おりもの(帯下)の細菌検査や腹腔鏡検査が重要です。
その他の原因
◆ 着床障害(受精卵が子宮に着床できない)
子宮の内腔に子宮筋腫やポリープがある場合や子宮奇形がある場合などです。
卵巣機能、特に黄体機能が不十分な場合があります。
プロラクチンというホルモンの濃度が高くなり、卵巣へのホルモン刺激がおさえられ、排卵がうまくおこらなくなります。着床にも悪影響を与えます。
◆ 肥満
排卵障害、着床障害の原因になります。日常の生活習慣を変え、体重を理想に近づけることでよい結果が出ますので、治療法も異なってきます。
最近は、肥満が原因となる、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と糖尿病との関係が注目されています。生活習慣病である、高血圧や、糖尿病などとも関連があることがわかってきました。
◆ 性感染症
性行為で感染するクラミジア、淋菌感染症が2大感染症です。女性の場合は、70%以上で自覚症状が乏しく、知らない間に広がり、卵管閉塞や卵管周囲癒着の原因を引き起こし、不妊の原因となることが多く認められます。パートナーとともに治療をしなければ再感染を繰り返します。
◆ 精神的な原因
セックスや妊娠に対する恐怖心などが原因で、夫婦生活ができない方も少なくありません。
カウンセリングなどで、正確な知識を得て、悩みを相談することで、良い結果がでることが多くあります。
精子の数が少ない・精子の動きが悪い
精子の数が少なく、動きが悪いというケースは、合併していることが多くみられます。重度男性不妊においては、特に精子数が少なく、動きも悪い場合がほとんどです。精子が100%動いていない、精子不動症というケースもあります。
しかし、顕微授精(ICSI)の技術の進歩により、近年では、男性不妊のほとんどのケースで、妊娠が可能になっています。とはいえ、やはり、可能ならばより自然な形で妊娠を・・というご希望には、漢方薬の内服や、精子の運動率を高める薬を用いた人工授精も効果的な治療法となります。
精子の状態がより悪い・無精子の場合
精巣上体より精子を回収します。もしも、精巣上体に見つからなければ、精巣生検を行います。
精巣生検で、精子および後期細胞が見つかれば、妊娠は、十分可能になります。
精子の状態は悪くないが、夫婦生活ができない場合
◆ 勃起障害(ED)
完全な勃起障害は意外と少なく、自分ひとりでは射精できる場合がほとんどです。精子を凍結して、人工授精をすれば、妊娠が可能になります。
多くは、精神的な夫婦間のつまずきが、原因になっていますので、ひとりお子さんを出産することによって、ご夫婦の相互理解が深まり、その後、二人目が自然にできることもありますので、やはり、カウンセリングなども重要でしょう。
その他の原因
◆ 性感染症
性行為で感染するクラミジア、淋菌感染症が2大感染症です。男性では、尿道炎が早期に生じ、排尿痛が著明となります。女性に感染させると、卵管閉塞や卵管周囲癒着など、不妊症の原因になることがあります。パートナーとともに治療をしなければ再感染を繰り返します。
通常の一般検査では異常がないにもかかわらず、2年以上正常な夫婦生活を行っても妊娠しない場合を、機能性不妊、原因不明不妊といいます。
しかし、このようなご夫婦の女性が腹腔鏡検査すると、卵管の癒着が認められることも多くあります。また、一般的な検査ではわからない、受精障害(精子、卵子が受精できない)があることも考えられます。
つまり、原因を発見できる検査をまだ受けていないために、不妊の理由が見つかっていないだけの場合もあるのです。
原因不明不妊の場合には、早い時期に腹腔鏡検査をし、異常がない場合には、精子の受精能のチェックを行い、異常があれば、体外受精(顕微授精)が必要となります。
赤ちゃんを授かるために必要な検査は、女性だけではありません。男性の検査もとても重要になります。いくら女性が検査し、薬を飲み、治療をしても、男性にも問題があった場合は、女性の治療だけでは解決できないどころか、それまでの女性の治療を全て無駄にしかねません。
できることなら、最初は夫婦でご一緒に受診されることをおすすめします。しかし、男性が、婦人科の病院に来院されることはなかなか気恥ずかしいものがあるようです。来院されなくても受けられる検査方法もありますから、ぜひ、よく話し合ってください。
では、初診時の主な検査内容をご紹介しましょう。(必要に応じて、下記以外の検査を受ける場合もあります。)
精子検査
精子の状態、運動率などを診ます。2〜3日間禁欲してご来院ください。
採精室で、シャーレに精子をとっていただくだけですが、来院が難しい場合には、ご自宅で採精いただき、培養液にいれて、ご持参いただく方法もあります。
治療に進むことが決まった場合、精子凍結も可能です。
精子の状態が悪かった方は、2週間ほど漢方薬を飲んでいただき、再検査をお願いしております。
睾丸触診
極端に精子の状態が悪かった場合、睾丸の形・大きさ・かたさなどを触診します。必要に応じ、前立腺マッサージも行います。
血液検査(※治療に進む場合)
治療に進む予定がある場合には、感染症の有無などを調べるために行います。
基礎体温の高温期層にご来院いただくのがベストです。(時間の都合のつかない場合は、その限りではありません。)また、基礎体温を測っておられる方は、お持ち下さい。
問診
生理が規則的か、出血量は多くないか、夫婦生活時に痛みがないか、基礎体温が二相性かなど、おうかがいします。
内診(経膣超音波)
膣内から子宮、卵巣の様子を観察します。一番抵抗のある検査だと思いますが、おなかの中を観察するとても重要な検査です。痛みもなくあっという間に終わりますので、ちょっとだけがまんしてください。内診室はカーテンで仕切られていますが、フレアースカートなどを着用なさっていると、受診しやすいかもしれません。
卵管が通過しているかどうかを膣から造影剤を入れて撮影する検査です。自然妊娠や人工授精などで妊娠できる必要条件ですので、外せない検査です。
避妊をされてご来院ください。
重い生理痛のような痛みを伴います。痛みの程度は個人差によりますが、当院では、痛みの少ない造影剤を使用しています。
痛みが不安な方は、ご相談ください。また、他院で造影検査を受けたことのある方は、写真をお持ちください。
ただし、時間経過がある場合等、必要に応じて、当院での再検査をお願いする場合もあります。
血液検査(※治療に進む場合)
治療に進む予定がある場合には、感染症の有無やホルモン値などを調べるために行います。
検査を終えると、赤ちゃんを授かるためにはどうしたらいいのかを考えなければなりません。いくつかの選択肢があります。
初診でご夫婦ともに問題がなかった場合、通常、自然な状態で様子をみるか、病院で排卵時期を観察し、適切な時期に夫婦生活をもっていただく、タイミング法、または、より積極的な補助を受けられる、人工授精にすすみます。
しかし、女性が40歳以上の高齢の場合、初診で問題がない場合においても、高度医療をおすすめすることがあります。タイミング、人工授精の経験もない、初めて治療を受ける方もいらっしゃると思いますが、卵子は年齢とともに老化がすすみ、妊娠が大変難しくなるため、より妊娠率の高くなる高度医療への早いステップアップが望まれるからです。もちろん、自然な状態にこだわりたい、高度医療は避けたいという方は、妊娠率はさがりますが、高度医療以外の方法での選択もできます。
大きな問題はなかったが、軽い問題が見つかった場合は、服薬、注射などを併用して、タイミング法、人工授精をおこなうといいでしょう。
残念ながら、精子に大きな問題がある(男性不妊)、子宮・卵巣などの機能に問題があるとわかった、または、卵管造影で卵管が詰まっている(卵管閉塞)とわかり、治療をしても通過しなかった場合は、高度生殖医療へすすむことになります。
自然妊娠を望む方はもちろん、タイミング、人工授精で赤ちゃんを望まれる方には、とても大事な検査があります。
排卵された卵子は、卵管の先端の卵管采が動いて、卵管の中へ取り込まれます。
初診の卵管造影検査では、卵管が通過しているかどうかは観察できましたが、卵子が卵管の中へとりこめる環境であるかどうかはわかりません。腹腔鏡検査という検査でないと、わからないのです。
子宮内膜症があったり、過去の盲腸などの開腹手術で卵巣や卵管采が癒着していると、せっかく排卵した卵子は卵管に入れず、精子と出会うことが全くできないということになります。つまり、タイミングや人工授精で、排卵を確認しても、卵管での精子との出会いが不可能だということです。
軽い癒着は、この腹腔鏡検査ではがすこともできますが、ここで問題が見つかった場合は、自然妊娠、タイミング、人工授精での妊娠は難しくなりますので、高度医療へすすむことになります。
卵子を卵管にとりこめるかどうかは、自然妊娠、タイミング法、人工授精の大事な条件のひとつなので、簡単な手術にはなりますが、おすすめしている検査です。特に、どうしても高度医療は希望しないという方にとっては、不可欠な検査になります。
タイミング法は、基礎体温等から予測される排卵日の2〜3日前から、尿中のホルモンを測り、経膣超音波を併用して、排卵日を特定し、指示されたタイミングで、夫婦生活を持つ方法です。
妊娠できる期間は、排卵日の前後1日ととても短い期間なので、排卵日を特定することにより、より妊娠の確率の高い夫婦生活を持つことができます。
配偶者間人工授精(AIH)は、タイミング法同様、排卵日を特定し、別に採取した精子を、医師がチューブで直接子宮内に注入し、より確実に、卵子と出会えるようにする方法です。
精子の運動率が低いなどの場合でも、精子を処理する(パーコール法)ことにより、より良い条件で受精にのぞめます。また、男性が仕事などの都合で、タイミング法が難しい場合にも、凍結精子を使った人工授精も可能です。
タイミング法、人工授精ともに、女性が排卵しにくい場合、より排卵を確実にするためなどに、薬、注射などを併用する場合があります。(詳しくは人工授精の排卵誘発参照)
また、当院では、日曜・祝日も、経膣超音波での卵胞(排卵前の卵子の入っている袋)の様子をモニターできますので、正確に排卵のタイミングを知ることができます。また、排卵誘発剤を使用して、万が一副作用が出た場合にも、夜間も含め、対応しておりますのでご安心ください
ご夫婦のご希望にもよりますが、35歳未満ならばタイミング法6回で人工授精へ、人工授精6回ぐらいで高度医療へのステップアップをおすすめしています。
赤ちゃんができない原因は、多くの要因があり、例えば、受精がうまくいっていないなど、タイミングや人工授精では解決できないものがあります。また、腹腔鏡検査で、卵管の周りに癒着がなくても、卵管采が実際に卵子を卵管に取り込めているかどうかは、わかりません。(ピックアップ障害)
高度医療では、体外で受精をさせ、分割をすすめるので、今までの検査では見つからなかった原因が見つかることがあります。人工授精を複数回繰り返しても結果が出ない場合、検査のつもりで、高度医療(体外受精)を1回試してみるのもひとつの考え方です。
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