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カウフマン療法

 排卵誘発前に卵巣機能の調整することを目的として、カウフマン療法やピルの服用をします。
 カウフマン療法は自然の排卵周期に類似した内分泌環境となるように、前半はエストロゲン(プレマリン)を、後半はプロゲステロン(ヒスロン・プロベラなど)を併用する方法です。排卵障害がある方に、卵巣機能を賦活させ、自然排卵を促進するために用いられています。プロゲステロンを服用し始めると基礎体温は上昇して二相性となります。お薬を飲み終えると2〜4日以内に出血が始まります。この出血は、量が少なくダラダラと続く傾向がありますが、薬の影響ですから心配はいりません。
 カウフマン療法とは別に、ピルを服用する方法もあります。マーベロンやドオルトン(プラノバール)はエストロゲンとプロゲステロンの合剤ですから基礎体温は最初から高温期となり、二相性にはなりません。カウフマン療法と同様で、飲み終えて2〜4日で少量の出血が始まります。作用の強さはドオルトンの方がマーベロンよりも強くなります。ですから、高齢の方や卵の数が少ない方がドオルトンを使用しますと、卵の数が減りすぎることがありますので、ご注意下さい。また、HMG(FSH)の使用量も増えます。これらのお薬を使用することにより、採取される卵子の質が高くなるという利点があります。

カウフマン法
カウフマン法
ピル
ピル
黄体中期エストロゲン投与
黄体中期エストロゲン投与
 
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精子保存・凍結
+----- セラムチューブ:通常の精子凍結方法 -----+

 精子浮遊液と凍結用メディウムの割合が1:1になるように、精子浮遊液に凍結用のメディウムをゆっくりと入れていきながら、よく混和します。その後、セラムチューブに入れ、液体窒素から2cm以上に規定の時間置いたあとに液体窒素に投入します。

+----- 冷蔵保存:精子の所見が良くない場合の方法 -----+

 精子の状態があまり良好でない所見に用いますが、保存の有用期限は2日間程度です。精子浮遊液と凍結用メディウムの割合が2:1になるように、精子浮遊液に凍結用のメディウムをゆっくりと入れていきながら、よく混和します。これを20℃に設定した無地に入れ、冷蔵庫にて保管します。

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採卵

 まず排卵誘発法を決定します。排卵誘発法は、年齢、月経初期における胞状卵胞の数、位置、過去の排卵誘発法の結果などを参考として決められます。排卵誘発の方法には約10通りあり、各個人に最も適した方法を決めることが最大の重要事項となります。
 排卵誘発法が決まり、卵胞が十分に大きくなった時点でHCGを投与します。HCGの代わりにGnRHアゴニスト(スプレキュアなど)を使用する方法もありますが、現在のところ、採卵した卵の質はHCGの方が良いようです[2006年5月現在]。但し、HMGで卵がたくさんでき、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の心配がある場合には、OHSSのリスクが低くなるスプレキャアを使う場合があります。
 HCG投与後、約36〜38時間目に採卵をします。採卵日には、AM8:00に来院していただき(前日夜23時以降は絶飲食)、排卵していないかどうか、卵胞の数、位置をチェックし、麻酔方法を決めます。卵胞が1〜2個でそれほど痛くない場所の場合には、鎮痛剤の坐薬または無麻酔(何もない方法)で採卵となりますが、大半の場合は、麻酔を施します。麻酔はプロポフォールを用いた静脈麻酔を使用します。麻酔がかかるまでは短時間で、採卵中は全く痛みを感じず、採卵後30分以内には覚醒します。覚醒後、全身チェックを行い、異常がない場合には外来において腹腔内の出血があるかないかを経膣超音波で確認し、異常がなければ帰宅となります。(静脈麻酔をされた方で、車や電車などの交通機関で帰宅される場合には、付き添いをお願いしております。)卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の程度が強い方や麻酔後にご気分が優れない方は、症状が軽減するまで、入院していただくこともございます。採卵後2日間は、抗生剤投与と安静をお願いしております。
 当院では、手術室での無菌操作の徹底など、感染防止対策に関しても最大限の努力をしております。ご心配な点やご不明な点がございましたら、メールやお電話でお気軽にお問い合わせ下さい。

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胚移植
採卵(刺激)周期移植

 採卵2日後の午前中に来院していただき、内膜の厚さを測定し、胚の分割の状態を説明します。内膜が10mm以上と良好、胚の分割も4細胞以上と良好な場合には、長期培養が有利ですので、4日目桑実期胚移植、または5日目の胚盤胞移植をおすすめしています。

自然周期移植
+----- 全胚凍結 -----+

 卵巣過剰刺激症候群の可能性が高い場合、または採卵後の子宮体部内膜の厚さがうすい場合には着床率が低くなりますので、全胚凍結をおすすめします。排卵誘発剤を使わない自然周期では一般的に子宮内膜は厚くなります。もちろん全例で厚くなるわけではありませんが、同じ厚さならば、着床率は刺激周期よりも自然周期の方が高くなります。

+----- 余剰胚凍結 -----+

 卵後2〜3日目に胚移植を行い、その際に良好胚がいくつか残った場合には余剰胚凍結をおすすめします。
 しかしながら、すべての胚が凍結可能な状態ではない場合(凍結すると胚がダメになる可能性が高い場合)には、凍結はしないで当日に移植します。また2日目の時点で受精していなかったり、分割していても非常に割球の形が悪かったりして、着床の可能性が低い場合には、患者さんと話し合ってこの周期の戻しは中止とする場合もあります。

+----- 割球除去後の胚凍結 -----+

 将来、着床前診断をする場合には、受精卵から分割した割球の1〜2個取り出します。取り出した割球の着床前診断をしている間に、受精卵の戻しをする適切な時期を逃してしまう恐れがある場合には、一旦凍結保存することになります。

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胚凍結の方法

 胚凍結には、余剰胚凍結と全胚凍結の2通りがあります。
 胚凍結は、採卵の2日目(4〜6細胞)、3日目(8〜10細胞)、4日目(桑実胚)、5日目(胚盤胞)のいずれの日でも可能ですが、蘇生率は2日目の胚が最も高く、90%以上となります。胚の分割が進むに従い、蘇生率は下がります。
 精子、受精卵の凍結・融解には、微妙な手技と操作が必要です。担当技術者個々の技術の差により、凍結・融解後の状態に大きな差が出てしまいます。それだけでなく、温度管理等、24時間体制での管理が必要です。当院では、液体窒素の補充は毎日行い、チェックノートをつけています。もしも、液体窒素が減少した場合にはアラームが鳴る仕組みになっています。また、凍結室の入り口はもちろんのこと、タンク1つ1つに鍵を取り付けて、セキュリティ管理も行っております。このように、凍結受精卵・精子などの管理、セキュリティにも万全にし、よりよい結果を目指して、スタッフも常に最新の研究を続けております。

緩慢凍結法

 緩慢凍結とは、ゆっくりと胚(受精卵)を凍結する方法です。

+----- 凍結方法 -----+

 胚を凍結用培養液で洗い、その後、胚と凍結用培養液を0.25mlのストローに入れます。プログラムフリーザーという器械の、メタノール液槽にこのストローをいれ、-7℃で凍らせ始め、毎分、-0.3℃ずつ温度を下げていき、-30℃まで冷却します。そして、液体窒素内に移し、保存します。この方法を用いると全ステージで凍結が可能ですが、特に4〜8細胞期胚での蘇生率が最も良好な結果を得ています。

+----- 蘇生法 -----+

 液体窒素からストローを取り出した後に、30℃の微温湯に数秒間つけます。その後、ストローについた水をきれいにふきとり、ハサミでストローを切り、胚をとりだします。その後、凍結用培養液と胚を培養する培養液で6段階の希釈液を作り、徐々に胚を培養する培養液の濃度に近づけていきます。

ガラス化保存法

 ガラス化保存法(Vitrification)とは、一気に胚(受精卵)を凍結する方法です。

+----- 凍結方法 -----+

 胚を平衡液にいれ、平衡化(細胞内の水分量と細胞外の水分量のバランスをとること)したのちに、ガラス化液に胚を移します。次に、Cryo-TopやCryo-Tipにごく少量のガラス化液と胚を乗せ、一気に液体窒素(-196℃)に投入します。その後キャップをして、液体窒素内に保存します。 ガラス化保存法は、胚盤胞のように胚にたくさんの水分を含んでいるものに向いています。

+----- 蘇生法 -----+

 液体窒素からCryo-topを取り出し、直ちに37℃の融解液に入れ、胚を取り出します。その後、希釈液に胚を入れ、洗浄液で2回洗い、培養液に入れて培養します。

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凍結胚移植の実際
月経周期が規則正しい方

 自然排卵予定の約2日前より尿中LH濃度の測定(1日3回:起床時・午後・就寝時)と経膣超音波で卵胞計測を行い、排卵日を見つけます。採卵後2日目に凍結している場合は、排卵2日目に戻します。もし、凍結日が採卵後3・4・5日目の場合には、自然周期排卵の3・4・5日目に戻すことになります。

月経周期が不規則な方

 排卵誘発剤(セロフェン)を服用し、あとは月経周期が規則正しい方の場合と同様です。
 セロフェンでも排卵しない卵巣機能不全の方、又は自然排卵はあるがモニターの通院が困難な方には、ホルモン剤(エストロゲン+プロゲステロン)を内服(もしくは貼付)し、子宮内膜を厚くして戻す方法があります。エストロゲンには、プレマリン(内服)とエストラーナ(貼付)があります。プロゲステロンとしては、ヒスロン、プロペラなどがあります。
 プレマリンは、月経初日より1錠から10錠まで漸増します。この時点で子宮内膜の厚さを測り、10mm以上になっている場合には7錠に減らします。その翌日より、プレマリンを5錠とヒスロンを6錠の併用服用を開始し、4日後に胚移植をします。併用服用を開始した2週間後に妊娠反応検査を行い、妊娠陽性の場合は児心拍確認まで服用を継続します。陰性の場合には、服用を中止します。中止後3〜4日後に生理が始まります。
 プレマリンは結合型のエストロゲンで、エストラーナより効果は少し落ちます。活性としては、エストラジオールの方が高くなります。プレマリンの効果が無い方またはプレマリンで副作用が出やすい方(湿疹、むくみなど)には、エストラーナの貼付剤をおすすめ致します。1枚からスタートし、隔日(1日おき)に漸増していきます。隔日で血中濃度が十分に保たれているということで隔日となっております。副作用はほとんどありませんが、たまにこの貼付剤で湿疹やかぶれがでる方もいらっしゃいます。その場合には、他の方法を考えるようにしております。

プレマリンとヒスロンの服用
プレマリンとヒスロンの服用
エストラーナとヒスロンの服用
エストラーナ(貼薬)とヒスロンの服用
 
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移植後の妊娠判定

 妊娠の判定は、尿中または血中のHCGの濃度を測定して行います。尿中のHCG判定が簡単で、費用も安くすむため、一般的によく行われています。しかし、ごく初期の妊娠を見つける必要がある場合、または、流産か子宮外妊娠の鑑別の際には、血中のHCG濃度の測定が必要です。
 妊娠の判定は、採卵(または排卵)後、2週間目に陽性となります。しかし、この時期に尿で判定した場合、尿が希釈(濃度が薄くなっている状態)していると、判定が陰性になる場合もありますから、一般的には、採卵(または排卵)後、3週間目に行うとよいでしょう。
 判定日は、基本的に採卵(または排卵)日から2〜3週間目とお考え下さい。しかし、胚移植の場合は、採卵周期と凍結胚移植では数え方が少し異なってきます。採卵周期の場合は、そのままの日数と数えていただければ問題ありませんが、凍結の場合は、採卵何日目に凍結したかによって判定日がずれます。採卵後2日目(4細胞)で凍結した場合には、移植後12日目(14日-2)を2週間目と数えてください。ですから、採卵後5日目(胚盤胞)を凍結し、それを融解して移植した場合には、移植後9日目(14日-5)が2週間目となります。

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チェッカーについて

 実験室は、患者様の大切な卵子・精子を取り扱っている部署ですから、絶対に間違いがあってはいけません。
 当院では、検査技師が各自の責任で操作を行うことを廃止し、チェックのみを専門に行うチェッカーと呼ばれるスタッフが3名常勤しています。どのような操作においても、検査技師とチェッカーが2段階で確認(ダブルチェック)を行います。チェッカーの確認なしでは、たとえ院長であっても、操作を先へ進めることはできません。
 名前の確認に始まり、同姓同名がいた場合はどう進めていくべきかなど、間違う可能性がないかどうかを日々検討し、何年もかけて現在の体制が出来上がりました。当院では、これらをもとに「ARTにおける事故防止の為のマニュアル」を作成し、研究室スタッフ全員の操作を統一化することによって、間違いが起きないようにしています。マニュアルには、名前の確認方法はもちろん、培養器からの精子・卵子の出し入れについて、凍結室に保管されている精子・卵子をタンクから取り出す時や収めるときの確認について、操作を行う機材の使用方法について(1ヶ所につき1検体など)など、細かなことが決められています。患者様から卵子や精子を受け取る時には、患者様ご自身にご協力をいただく点もあります。
 採卵に関しては、採卵から胚移植、胚の凍結に至るまで、お一人お一人のチェックシートを作成し、検査技師とチェッカーがともに細かな操作において、その都度サインをして記録を残しています。
 何年も検討を続けてできあがった現在のマニュアルは、ほぼ完璧ですが、今後もより一層の努力が必要だと感じています。私たち研究室スタッフが今一番に思うのは、患者様との関わりあいの大切さです。私たちの仕事は、治療の中心であるにも関わらず、その作業を患者様の目に触れることはほとんどなく、また、医師や看護師に比べて、患者様と直接お話できる機会が少ないのが現状です。そんな中で、わたし達は、患者様のご希望に沿って仕事ができているだろうか、ご迷惑をかけてはいないだろうかと常に考えております。不安に感じていることや、疑問に思っておられることがございましたら、当院の意見箱やABC不妊治療Q&A百科事典にお寄せ下さい。皆様からたくさんの声をお聞かせいただき、今後も検討を重ねていくことで、より安心できる治療体制を築いていくことをお約束します。

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アロママッサージ

 当院では、心のケアの必要な方に、アロマオイルによるハンドマッサージ(無料)を行っております。マッサージは、月曜日〜金曜日の診療時間内に2階のサロンで行います。
 フルラージュ、ペトリサージンを取り入れたハンドマッサージです。オイルはマンダリン(皮膚の弱い方や匂いが苦手な方にはホホバオイルのみ)を使用します。※現在のところ、医師の判断にて心のケアが必要な方に対してアロママッサージを行っております。患者様からのマッサージのご希望はお受けしておりません。御了承下さい。[2006年5月]

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