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タイミング法

 誰でも自然な形で妊娠できればそれが一番です。特に、これまで不妊治療をしたことのない方は、いきなり配偶者間人工授精(AIH)や体外受精をすすめられても抵抗があるでしょう。できることなら、専門医のアドバイスを受けながら自然に妊娠したいと望んでおられる方がほとんどです。
 そこで当院では、以下の条件を満たすご夫婦には、まずはタイミング法を指導します。

  • 夫の精子が正常である
  • 妻の卵管が両方とも通っている
  • 年齢が若い
  • 結婚してそれほど年数がたっていない
  • できるだけ自然に妊娠したい

 タイミング法とは、排卵の時期を正確に知って、それに合わせて夫婦生活をもっていただく方法です。自然周期でのタイミング法と、排卵誘発剤を使ってのタイミング法の二通りがあります。

自然周期でのタイミング法

 自然周期でのタイミング法は、自然の排卵を待って行う方法です。一番大事なことは、排卵日(厳密にいえば排卵時間)を正確に知ることです。現在では、経膣超音波とホルモン検査によって2〜3時間の誤差で排卵時間が予測できます。

+----- 排卵日の予測 -----+

 基礎体温表を見て、排卵日が近づいたら予測日(排卵の2日前)に通院していただき、超音波で卵胞の大きさを観察します。卵胞は1日に約2mmの割合で大きくなり、だいたい直径18〜22mmぐらいになったときに排卵しますから、その大きさで排卵日を予測することができます。

+----- 排卵時間の予測 -----+

 「朝起きた時」「午後のおやつの時間」「寝る前」の1日3回、約8時間おきに尿をとって、それを持って来院していただきます。当院において尿中のLHというホルモンの値を調べます。このホルモンの値と、経膣超音波で測った卵胞の直径、頚管粘膜(排卵が近づくにしたがい、頚管粘膜の量が増え、結晶がはっきりしてきます)3つから排卵時間を予測します。

+----- 夫婦生活 -----+

 卵が卵管の中で受精する能力は、排卵してから8〜12時間ぐらいの間です。妊娠のチャンスを高くするには、排卵の約6時間前から排卵直前までに夫婦生活をもつことです。排卵時間が予測できた後は、それに合わせて夫婦生活をしていただきます。しかし、ベストタイミングが昼間だったりすると、ご主人も仕事で留守でしょうから、そういうときは多少時間をずらして、帰宅してすぐにとか、深夜にとか、場合によっては早朝に、という具合にこまかく指導します。

飲み薬を使うタイミング法

 当院に来られる患者さんには、すでに1〜2年間基礎体温を測りながら、ご自身たちで、ある程度タイミングをとってこられた方が多くいらっしゃいます。そのような方には、クロミッドやセキソビットなどの排卵誘発剤の飲み薬を飲みながらのタイミング法を指導します。排卵のある人に排卵誘発剤を使うのは、医学的には間違っているという意見もあるでしょうが、少しでも早く子どもが欲しい方には、排卵誘発剤で卵の数を増やして妊娠のチャンスを高めるこの治療法は必要であると思います。

+----- 長所 -----+

 自然周期では、卵胞の直径が16〜18mmぐらいのまだ小さなうちに排卵してしまう方もおられ、排卵を見逃さないように頻繁に病院に通わなければなりません。しかし、排卵誘発剤を飲むと「卵が少し大きく発育する」「生理の周期に関係なくほとんど決まった時期に排卵する」など、排卵日が見つけやすくなり、病院に通う回数が少なくてすみます。また、卵は2個ぐらい排卵しますから、自然周期のタイミング法にくらべると妊娠率も約2倍になります。

+----- 短所 -----+

 双胎妊娠の割合が高くなるという欠点もあります。約5%ほどの確率で双子を妊娠します。ただし、飲み薬では、3つ子や4つ子になることはまずありません。排卵誘発剤は、このようなことをよく患者さんに説明した上で使用します。

注射を使うタイミング法

 飲み薬を飲みながらのタイミング法を約5〜6回ほど試しても効果のない時には、排卵誘発剤の注射を打つ方法もあることを説明して、飲み薬か注射かを選択していただきます。場合によっては、飲み薬とこの注射を併用することもあります。
 注射による方法は、卵巣に直接働いて卵胞の発育を促すHMG(下垂体性性腺刺激ホルモン)という排卵誘発剤の注射を打ちながらタイミング法をしていただくものです。HMGを数日間注射して卵胞を刺激し、たくさんの卵を成熟させたところで、今度はHCG(胎盤性性腺刺激ホルモン)という注射を打って排卵を促します。

+----- 長所 -----+

 飲み薬では効果がないときや、より質の高い卵が数多く欲しい時に、HMGは強力な効き目があります。

+----- 短所 -----+

 飲み薬と違って副作用が強く出ることを注意しなければなりません。三つ子や、まれに四つ子を妊娠する可能性があります。また、20%くらいの割合で卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こし、卵巣が腫れることがあります。これらの副作用を患者さんに十分説明し、納得していただいたうえで治療を行います。

夫婦生活後の姿勢について

 よくセックスのあと逆立ちしたり、しばらく腰を高くした姿勢でいると妊娠しやすいなどと言われますが、これは全くの迷信です。大半の精液は膣の外に出ていき、元気な精子だけがまっすぐ卵管を目指して進みます。これはどんな姿勢をとろうと関係ありません。

排卵日を正確に予測しよう!

 一般には、基礎体温が上昇する前に急激と下がったときが排卵日だといわれていますが、これは間違いです。約半数の方は、体温が上がってから排卵が起こることがわかっています。特に、排卵誘発剤を飲んだ場合は、85%の人は体温が上がってから排卵が起きます。

排卵を確認しよう!

 従来は、基礎体温が上昇すれば排卵したものと思われていましたが、黄体化未破裂卵胞といって排卵しない卵胞があります。基礎体温が上がって、黄体ホルモン(プロゲステロン)の値も上昇し、子宮内膜も厚くなって、排卵の兆候がすべて揃っているにもかかわらず、実際には卵胞が破れておらず、排卵していないことがあります。これを何度も繰り返す人は、卵胞のまわりが癒着を起こして自力では排卵できなくなっている可能性が高いといえます。夫婦生活をした翌日に、排卵したかどうかを確認してください。

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人工授精(AIH)
人工授精(AIH)
人工授精(AIH)

 配偶者間人工授精(AIH)は、排卵日に合わせて精子を子宮に入れる方法です。一般的にほとんどの精子は射精後、膣の中で死んでしまいますが、精子を子宮の奥まで入れることによって、精子が卵管まで到達しやすくする治療法です。
 治療法には、排卵誘発剤やHCGを使用せず、自然周期のままで人工授精を行う方法もあります。

 
人工授精の基本的な流れ

排卵誘発
排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、複数の成熟卵胞を育てます。
排卵誘発法はお一人お一人異なります。
HCG投与
卵胞数や大きさ、尿中LH濃度を見ながら、人工授精の日時を決めます。
飲み薬のみの場合は、尿中LH濃度が高くなるまでまちます。
HMG注射の場合には、卵胞が20mm程度になったらHCGを打ちます。HCG投与の翌日に人工授精となります。
採精
採精は、清潔な状態で採取していただくために、院内の採精室で行います。
採取していただいた精子は、濃度や運動率を高くするために培養液を用いて処理を行います。
凍結精子の場合は融解して使います。
人工授精
人工授精針のついた注射器で子宮内に戻します。
女性は、内診台で注入後、すぐに歩行して帰宅できます。治療終了後は安静の必要は特にありません。
妊娠判定
一般的に人工授精後約14日目に妊娠判定を行います。 病院で尿を採取して、妊娠反応が出るかチェックします。 妊娠が確認されれば、そこから先は自然妊娠の場合と同じです。
 
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パーコール法

 パーコール法とは、運動良好精子を回収する方法です。パーコールとは、防湿剤の成分であるシリカゲルが本体です。パーコールの濃度を重いものから軽い方へ積層(4〜7層)し、その頂部に液化した精液をのせ、遠心分離(1500回転/分を10〜15分間)しますと、死んだ精子、異物などは、途中のパーコールの層にひっかかり、除去されます。成熟した一番重い精子が底部に沈みます。この濃縮した精子は運動率がよく、濃度も重くなり人工授精(AIH)に適した精子となります。
 パーコール液を9〜12層とし、比重の違いを利用することにより、XとY精子を分離する方法がパーコール法による産み分け法ですが、一般的にこの方法ではX・Y精子の分離は困難であると報告されています。

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体外受精(IVF)
体外受精(IVF)
体外受精(IVF)

 体外受精は、卵子と精子を体の外に取り出して、シャーレの中で混ぜて受精させ、受精卵(胚)を子宮に戻すものです。多くの場合、採卵数を増やすために排卵誘発剤を用います。高齢の場合など、排卵誘発剤が無効な時には自然に排卵した卵を使うこともあります。

胚移植の様子(クリックすると再生します)

 
体外受精の基本的な流れ

排卵誘発
排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、複数の成熟卵胞を育てます。
排卵誘発法はお一人お一人異なります。
HCG投与
卵胞数や大きさを見ながら、採卵の日時を決めます。
採卵時間の36〜37時間前に排卵を促すHCGを注射します。
注射のタイミングを決めるために、経膣超音波やホルモン量を調べる検査も行います。
採卵・採精
採卵は、経膣超音波で卵胞の位置を確認しながら、採卵針を卵胞に刺して卵胞液ごと採取します。
麻酔が効いているので痛みはありません。卵胞数が1〜2個と少なく、痛みの少ない場所にある場合には、痛み止めの坐薬のみで採卵することもあります。
採精は、清潔な状態で採取していただくために、院内の採精室で行います。
採取していただいた精子は、培養液で洗浄し、遠心分離器にかけて運動性が良い精子だけを分離します。
凍結精子の場合は融解して使います。
体外受精
採卵後4〜5時間ほど培養した卵子と良好な状態の精子をシャーレの中で混ぜ合わせます(媒精)。
(ここで、精子の運動率が低いなどの理由で、当日、顕微授精にきりかえることもあります。)
その後、卵子を栄養成分を含んだ培養液の中に入れて、培養器で育てます。
培養
約18時間後に顕微鏡で受精しているかどうかを確認します。 受精が確認できたら、再び培養器に戻します。
受精卵は2日目には4分割、3日目には8分割と分割しながら育ちます。
胚移植・凍結胚移植
4〜6分割卵(採卵2日目)になったら子宮に戻します。
一般的に着床率を上げるために、胚移植後に黄体ホルモン剤を使用します。
戻し方は、すぐに戻す胚移植と、凍結をして自然周期に戻す凍結胚移植があります。
凍結胚移植は、排卵周期に子宮内膜が薄くなっている場合に適用となります。
また、培養期間を長くして、子宮内膜に着床する寸前の胚盤胞まで育ててから戻す胚盤胞移植もあります。
妊娠判定
一般的に採卵から16日目(胚移植から14日目)に妊娠判定を行います。 病院で尿を採取して、妊娠反応が出るかチェックします。 妊娠が確認されれば、そこから先は自然妊娠の場合と同じです。
 
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排卵誘発
発育卵胞数と妊娠率
発育卵胞数と妊娠率

 採卵数が増えるに従って、ARTの妊娠率が高くなることは一般的に認められています。ARTの歴史は、よりよい排卵誘発法の開発の歴史といっても過言ではありません。しかしながら、卵胞数が20個以上になると卵子の質は低下し、卵巣過剰症候群などの副作用の発生率も高くなってしまいます。理想の排卵誘発法は、左右の卵巣に10個未満(6〜8個)の卵胞ができるような方法です。このためには、年齢、卵巣(胞状卵胞の数)、子宮内膜の状態をよく観察し、各個人に適した排卵誘発法をみつけることが大変重要です。

のみ薬や注射を使用する方法
+----- クロミッド -----+

 子宮内膜が薄くなる(20〜30%)・頚管粘液が減少する(約50%)という副作用があります。しかし、子宮内膜が厚くなる場合もあり、一概に内膜に良くないとは言い切れません。

クロミッド
 
+----- HMG+HCG -----+

 注射(6〜7本)のみというパターンも一般的です。副作用予防のために、超音波で卵巣をチェックしながら行います。

HMG+HCG
 
+----- クロミッド HMG+HCG -----+

 HMGのみで卵の数が思ったよりできない場合には、飲み薬とHMGの両方で卵を作ります。

クロミッド HMG+HCG
 
GnRHアゴニストを使用する方法

 GnRHアゴニスト(スプレキュア・ナサニール・イトレリンなど)における排卵誘発は、体外受精に一般的に使用されている方法です。Long法とShort法があります。

+----- Short法 -----+

 Short法は、GnRHアゴニスト開始と同時にHMG(FSH)を使用開始する方法です。GnRHアゴニストの初期のFSHの濃度を高める作用を利用した方法で、発育してくる卵胞数が少ない方、高齢の方に効果的です。

Short法
 
+----- Long法 -----+

 卵胞が未熟なうちにLHの分泌が起こり、卵子の発育に障害を与える場合があります。特に、HMGやクロミッドだけでは、排卵の途中で20〜30%の割合でLHの分泌が認められます。Long法では、この未成熟なLHサージを完全に抑えこみ、理想的な卵子が発育できるように作用します。GnRHアゴニストを長期間使用することにより、ゴナドトロピン(FSH、LH)の濃度を下げコントロールしやすくします。30〜35歳の方に適用します。

Long法
 
GnRHアンタゴニストを使用する方法

 近年では、スプレキュアよりも更に作用が強力なGnRHアンタゴニストという薬が開発されて使用されております。この薬を使うことにより、血中の早期でのLHサージの発生をほぼ100%抑えることが出来るので良質な卵がとれるようになりました。しかし、GnRHアンタゴニストを使えばすべての方にいい卵ができるとは限りません。かえって質が低下するということもありえます。卵の作り方は本当に難しいのです。
 30歳未満の方、卵が多くできすぎてしまう方(20個以上の卵胞ができてしまう方)、多嚢法性卵巣(PCOS)の方、高齢でスプレキュアが無効の方には有効的な方法です。

GnRHアンタゴニスト
 
排卵コントロール

 本来、LH濃度は、卵胞が完全に成熟した後に急上昇します。しかし、ヒトの尿から合成されたHMGには、黄体形成ホルモン(LH)が含まれているため、HMGを使用すると、卵胞が発育していく途中で、未完成な形で発生してしまい、成熟した卵子がとれなくなってしまいます。この黄体形成ホルモン(LH)による影響を抑えるために、GnRHアゴニスト(スプレキュア、ナサニール、イトレリン)とGnRHアンタゴニスト(セトロタイド、ガニレリックス)という薬品が開発されました。

+----- 卵胞数をコントロールし、粒揃いとするためには -----+

 卵巣機能の調整を目的とし、下記のいずれかを服用することによって、排卵誘発で左右に6〜8個の成熟した卵胞を発育させることができます。

  • ピル(低用量:マーベロン21、中用量:ドオルトン)
  • カウフマン療法(プレマリン+ヒスロン)
  • 黄体中期よりエストロゲン

 上記の3つのいずれにするかは、月経初期(2〜3日目)の卵巣内の胞状卵胞(未成熟な卵胞で直径約5〜8mm)の数と粒揃いかどうかを観察し、年齢や過去の卵巣の反応の結果を参考にして決めます。作用の強さとしては、ピル>カウフマン>エストロゲンの順を目安とします。
 若くて胞状卵胞数が多く、卵巣が腫れやすそうな方には、ピルを1〜2ヶ月使用します。それ程ではない方は、カウフマン又は黄体中期よりエストロゲンまたはピルを投与します。

カウフマン法
カウフマン法
ピル
ピル
黄体中期エストロゲン投与
黄体中期エストロゲン投与
 
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合

 ピルを1〜2ヶ月前もって使用し、胞状卵胞数を減少させ、GnRHアゴニストを使用する方法をまず選択します。この方法でも卵胞が多く発育する場合には、腹腔鏡下に卵巣表面の電気焼灼を行います。非常に効果があります。肥満(BMI 28以上)を合併している方は、まず体重をBMI 25まで戻るように食事+運動療法を行います。

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排卵誘発剤の副作用

 不妊治療を受けようと思っている方、今受けている方たちが一番心配している点は、排卵誘発剤の副作用だろうと思います。排卵誘発剤は、軽度の不妊症・体外受精・顕微授精などに広く使われており、この薬が開発されたおかげで不妊に悩む多くの女性が救われているのは事実です。しかし、強力な排卵誘発剤には強い副作用が起きる可能性があります。
 副作用が問題になっているHMGという薬は、下垂体性性腺刺激ホルモンというホルモン製剤です。生理が始まって3日目、または5日目からこの注射を打ち始めると、卵巣に直接働いて卵胞の発達を促し、たくさんの卵を成熟させてくれます。その際に、副作用として卵巣過剰刺激症候群が起きる方がいらっしゃいます。卵巣過剰刺激症候群の症状としては、「卵巣が腫れる」「おなかがふくれる」「下腹痛」「腰痛や胃痛」「血液濃縮」「吐き気・嘔吐」「胸水がたまる」「呼吸が苦しくなる」「全身の倦怠感」などが挙げられます。
 ひどい場合は入院していただくこともあります。また、非常にまれですが、血栓症となり、全身マヒになったり、最悪の場合は死につながることもあります。排卵誘発剤を使う治療は常に危険と隣り合わせであるといえるでしょう。

副作用がおきやすいのはどんな人?

 卵巣過剰刺激症候群が起きるのは全体の10〜20%ぐらいで、すべての方に起きるわけではありません。
 一般的に、副作用は、月経周期が不規則で排卵障害のある方に発生しやすい特徴があります。その中でも、多嚢胞性卵巣(PCOS)の方は要注意です。PCOSは、飲み薬では排卵しにくいので、HMGの注射を打たざるをえませんが、卵巣が過剰に反応してしまうこともありますので、当院では非常に慎重に治療を進めます。また、20代ぐらいの年齢の若い方も注意した方がよいでしょう。卵巣は35才を過ぎると少し反応が鈍くなるので、卵巣過剰刺激症候群が起こる確率も少なくなります。初診時の経膣超音波検査で排卵誘発剤注射後に何個くらいの卵胞が発育するかで予測できます。腫れやすい方には事前に注射の量や種類とかえた別メニューをお出ししております。

副作用は予測し、防ぐことができる

 卵巣過剰刺激症候群はいきなり起こることはありません。だんだん卵巣が腫れてきて、それを放置しておくと重症になります。頻繁に超音波モニターで見て卵巣の様子をチェックしてさえいれば事前に予測がつきます。その時点で注射をストップすれば自然に卵巣の腫れはひき、重症になることはありません。
 当院では、約1週間にわたって6〜7本のHMGの注射を打ちますが、4〜5本目の時に、必ず超音波で卵巣の状態をチェックします。多嚢胞性卵巣の人は、まるでイクラのように小さな卵がたくさんできていて、このままHMGを打ち続けると卵巣が腫れてくるだろうと予測できる場合があります。事前にもよく説明してありますが、実際にこのようになった時には、患者さんに更に詳しく説明して中止するようにおすすめしております。
 注射をやめれば卵巣の腫れは徐々にひいていき、以上の症状は発現しません。患者さんの無念な気持ちもわかりますから、こちらもできるだけ患者様の希望に添うようにしますが、このまま続けるのは明らかに危険だと思われるときは、中止をおすすめしております。

体質に合わせた治療法

 副作用が出るか出ないかは体質的なものですから、個人差が大きいといえます。中には飲み薬だけでも出る人もいますから、実際に治療を始めてみるまでは予測がつかないこともあります。
 しかし、一度薬を投与すれば、だいたいその人の反応がつかめますから、二度目からは個々に応じて加減をしていくことができます。また血液濃縮が起こらないように、当院では血液濃度も常にチェックして、濃くなったときは点滴で元に戻す治療を責任をもって行っております。

+----- 副作用が出やすい方 -----+

 多少高価ですが、同じHMGでも卵巣の腫れにくい薬を使います。また、HMGの投与量を減らしてコントロールすることもあります。

+----- 多嚢胞性卵巣(PCOS)の方 -----+

 副作用の少ないHMGの量を減らして打ったり、レーザーメスで卵巣の表面の閉鎖卵胞を開孔して排卵しやすくする方法があります。最近は、メトフォルミンという糖尿病の治療薬も効果があることがわかってきております。糖尿病の血液検査を事前に行い、異常値が認められる方には、まず抗糖尿病薬を投与します。糖尿病が治ると、多嚢胞性卵巣の方も軽快することもあります。

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顕微授精(ICSI)
顕微授精(ICSI)
顕微授精(ICSI)

 顕微授精は、1個の卵子に1個の精子を注入する方法です。卵子と精子を体の外に取り出して、元気な精子の中から1個を吸引し、卵子の細胞質内に注入して受精させ、その後、発育した受精卵(胚)を子宮に戻すものです。重度の乏精子症や精子無力症や、卵子の透明帯が硬い、または精子・卵子ともに正常であっても、体外受精をしてもうまく受精しない場合に行う治療法です。

顕微授精の様子(クリックすると再生します)

顕微授精の基本的な流れ

排卵誘発
排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、複数の成熟卵胞を育てます。
排卵誘発法はお一人お一人異なります。
HCG投与
卵胞数や大きさを見ながら、採卵の日時を決めます。
採卵時間の36〜37時間前に排卵を促すHCGを注射します。
注射のタイミングを決めるために、経膣超音波やホルモン量を調べる検査も行います。
採卵・採精
採卵は、経膣超音波で卵胞の位置を確認しながら、採卵針を卵胞に刺して卵胞液ごと採取します。
麻酔が効いているので痛みはありません。卵胞数が1〜2個と少なく、痛みの少ない場所にある場合には、痛み止めの坐薬のみで採卵することもあります。
採精は、清潔な状態で採取していただくために、院内の採精室で行います。
採取していただいた精子は、培養液で洗浄し、遠心分離器にかけて運動性が良い精子だけを分離します。
凍結精子の場合は融解して使います。
顕微授精
元気な精子の中から1個をピペットで吸引し、顕微鏡下で卵子の細胞質内に注入して培養液中で育てます。
体外受精の予定でも、精子の運動率が低い、または精子と卵子を一緒にした後に透明帯上の精子の数が少ないなどの理由で、当日、顕微授精にきりかえることもあります。
培養
約18時間後に顕微鏡で受精しているかどうかを確認します。 受精が確認できたら、再び培養器に戻します。
受精卵は2日目には4分割、3日目には8分割と分割しながら育ちます。
胚移植
4〜6分割卵(採卵2日目)になったら子宮に戻します。
一般的に着床率を上げるために、胚移植後に黄体ホルモン剤を使用します。
培養期間を長くして、子宮内膜に着床する寸前の胚盤胞まで育ててから戻す胚盤胞移植もあります。
妊娠判定
一般的に採卵から16日目(胚移植から14日目)に妊娠判定を行います。 病院で尿を採取して、妊娠反応が出るかチェックします。 妊娠が確認されれば、そこから先は自然妊娠の場合と同じです。
 
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卵管内移植(GIFT・ZIFT・EIFT)
卵管内移植(GIFT)
卵管内移植(GIFT)

 GIFT法は卵子を精子を一緒にして直ちに卵管内に戻す(現在はICSIを行い、受精の可能性を高くした後に卵管内に戻しております。)のに対して、ZIFT法は1日培養し、受精を確認した後に卵管内に戻します。また、EIFT法は更に1日長く培養し、分割卵を卵管に戻す方法です。 高齢の方や、卵や胚の数が少ない(1〜2ヶ)場合には、卵管内移植の妊娠率は体外受精に比べて2〜3倍高くなりますので、当院では、積極的に卵管内に戻すようにおすすめしています。
卵子や胚にとって一番住み心地の良い環境は卵管の中であり、胚を卵管の中に入れれば妊娠・着床率は高くなるのは自然の理にかなっています。実際操作している時間は10分〜15分ですが、腹腔鏡検査と同様の処置が必要となります。

卵管内移植法の基本的な流れ

排卵誘発
排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、複数の成熟卵胞を育てます。
排卵誘発法はお一人お一人異なります。
HCG投与
卵胞数や大きさを見ながら、採卵の日時を決めます。
採卵時間の36〜37時間前に排卵を促すHCGを注射します。
注射のタイミングを決めるために、経膣超音波やホルモン量を調べる検査も行います。
採卵・採精
採卵は、経膣超音波で卵胞の位置を確認しながら、採卵針を卵胞に刺して卵胞液ごと採取します。
麻酔が効いているので痛みはありません。卵胞数が1〜2個と少なく、痛みの少ない場所にある場合には、痛み止めの坐薬のみで採卵することもあります。
採精は、清潔な状態で採取していただくために、院内の採精室で行います。
採取していただいた精子は、培養液で洗浄し、遠心分離器にかけて運動性が良い精子だけを分離します。
凍結精子の場合は融解して使います。
顕微授精

元気な精子の中から1個をピペットで吸引し、顕微鏡下で卵子の細胞質内に注入します。
培養
GIFT法は、顕微授精の同日に卵管内に戻します。
ZIFT法は、顕微授精後、1日培養し、受精を確認してから卵管内に戻します。
更に1日長く培養し、4〜6細胞に分割した胚を卵管内に入れるEIFT法もあります。
妊娠判定
一般的に採卵から16日目(胚移植から14日目)に妊娠判定を行います。 病院で尿を採取して、妊娠反応が出るかチェックします。 妊娠が確認されれば、そこから先は自然妊娠の場合と同じです。
 
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