
妊娠が成立するためには、卵子と精子の出会いが必要です。この両者が出会うためには、卵子と精子それぞれの働きが正常に行われる必要があります。
まず卵子側からみてみましょう。自然周期では、スタート段階では約10〜20個の卵胞がありますが、最終的には1個の卵のみが発育してきます。この時に必要なのが、卵胞ホルモン、(エストロゲン)、卵胞刺激ホルモン(FSH)です。卵胞刺激ホルモンによって発育した卵胞からは、エストロゲンが産生します。このエストロゲンが十分な濃度になり、卵子が成熟すると、今度はFSHのかわりにLHという黄体化ホルモンが出てきます。この黄体化ホルモンが最終的に卵胞に作用し、排卵を促します。このようにFSHホルモン、卵胞ホルモン、LHホルモンの3つが正常に働くことによって排卵が起こります。無事に排卵した卵胞は、卵管采(卵管の一番外側)にピックアップ(キャッチ)されなければなりません。ピックアップされた卵子は、卵管采で卵子の到着を待っている精子と巡り会い、受精します。そして卵管の中で細胞分裂を起こしながら約4〜5日かけて子宮へ戻って着床し、胎児となるわけです。
次に精子側からみてみましょう。精子は、卵管の一番外側の卵管采で卵子を待つために、膣の中に射精された後、卵管采までたどり着く必要があります。ですから、ある一定の精子濃度と運動率がなければ、ここまでたどり着けません。精子の濃度が少なかったり、運動率の低い精子無力症の方の場合には、正常な卵管内での受精が行われなくなってしまうわけです。
このような正常な妊娠が起こる機能があるかどうかを調べる方法として、男性は精液検査で精子の数や運動率を調べます。女性はホルモン検査、LH、FSH、E2(卵胞ホルモン)を測ります。LHは尿のキット(薬局で売っています)で簡単に測定でき、排卵の予測が可能です。基礎体温は、二相性になっているかどうか、月経周期が正しかどうかをみる上で非常に重要ですから、基礎体温も測りましょう。また卵管造影は、卵管が開通しているかどうかを調べる方法で、腹腔鏡検査は卵管の周囲に癒着があるかないかを調べる検査です。妊娠できるかどうかを知るために、以上の検査が必要となります。
初潮以来ずっと生理が不順で、結婚した現在も定期的に生理がこないという方、また、以前はきちんとあったのに、ダイエットなどがきっかけで不順になったという方も、早めに診察を受けて、きちんと排卵があるかどうかを調べてもらいましょう。最近は、この過激なダイエットによる生理不順がふえています。急激に体重を落とすと、生理不順や無月経になることがよくありますが、このようなダイエットで起きた生理不順はなかなか治りにくいのが特徴です。
仕事のキャリアを積み、高齢になって結婚する女性が増えています。高齢でも、結婚してすぐ子どもができる方もいます。しかし一般には、高齢になると子宮内膜症や子宮筋腫をもつ方が増えたり、卵巣の働きが衰えて、良好な卵ができにくくなるので、20代にくらべると不妊率が高くなります。30代半ば以降で結婚した方は、子どもを望むなら早めに病院へ行って、基礎体温のチェックや子宮卵管造影などの基本的な検査だけでも受け、自分の体の状態を把握しておきましょう。そして、自然にまかせてよいか、それともすぐに治療を開始したほうがよいか、自分のとるべき道を早く決めましょう。40才近くになってあわてて不妊治療を始めても、妊娠できる可能性は低くなります。
不妊症の中でも意外と多いのが、セックスがうまくできないご夫婦です。夫が勃起不全であったり、勃起はしても射精に至らなかったり、また妻が痛がって挿入できなかったりして、セックスレスのままというカップルもいます。いろいろな原因がありますから、不妊症を専門に扱っている病院で、ご夫婦でカウンセリングを受けましょう。原因をとり除いて、きちんと夫婦生活がもてるようにすることが大事です。
子どもをつくろうというときには、基礎体温をつけて自分で排卵日を予測し、その日に合わせて夫婦生活をもつというのがごく一般的なやり方ですが、それでも20代の方で2年間妊娠の兆候がないときには、病院へ行ったほうがいいでしょう。30代の方は、これから治療に入ることを考えると残された時間があまりありませんから、1年をめどにし、それで妊娠しなければ病院へ行きましょう。
虫垂炎で腹膜炎を合併したことのある方、子宮筋腫の核出術を受けた方、子宮内膜症の手術をした方など、過去におなかを切ったことのある方は、卵管や卵巣の周囲に癒着を起こしている可能性が非常に高くなりますので、結婚して1年たってできなければ、病院で検査(特に腹腔鏡検査)を受けましょう。妊娠を早く希望される方は、1年待たなくても一度検査を受けてみられるとよいでしょう。
精子の数が極端に少ない、いない、運動率が非常に悪いという重症男性不妊の方は、睾丸をさわっただけでわかる場合があります。通常、睾丸はピンポン玉くらいの大きさで、ある程度のかたさがありますが、それが小さかったりフニャフニャして柔らかい方は、検査を受けられることをおすすめいたします。






