[2005年10月13日]
2000年1月〜2005年12月の5年間に、当院にて経験した子宮外妊娠の87症例について、原因を調査いたしました。87症例の子宮外妊娠症例のうち、生殖補助医療(ART)によるものが28例、タイミング・人工授精によるものが16例、自然発生によるものが43例でした。子宮外妊娠症例の平均年齢は、ARTは36.4歳、タイミング・人工授精は33.2歳、自然発生は28.5歳で、ARTによる子宮外妊娠の高齢化が目立ちました。
子宮卵管造影検査、腹腔鏡検査、開腹時所見を参考に、卵管周囲に炎症や癒着が認められた症例を「卵管因子」とすると、子宮外妊娠の原因が卵管因子である割合が、ARTは64%、タイミング・人工授精は67%、自然発生は58%と全体の過半数を占めており、卵管因子は、子宮外妊娠の重要な原因であることが明らかになりました。卵管因子の内容としては、ARTでは子宮筋腫・腺筋症・流産・中絶・帝王切開の既往が認められ、自然発生では中絶既往が多く認められました。
[2005年9月20日]
当院の治療において、染色体異常による不妊症の男性患者の精巣から採取した未成熟の精子細胞を体外受精し、双子1組を含む男児3人、女児2人を無事に出産しました。このような出産は世界初であります。この成果は、2005年9月13日の読売新聞夕刊にも取り上げられました。
2005年9月13日 読売新聞より
読売新聞社の著作物について http://www.yomiuri.co.jp/policy/copyright/
[2005年9月20日]
当院の研究において、染色体異常が原因となって生じる習慣流産の重篤度は、流産した胎児や両親の染色体を調べることで判定できることを確認いたしました。
この成果は、2005年9月13日の朝日新聞夕刊にも取り上げられました。
[2005年8月4日]
当院の研究において、体外受精した受精卵を桑実胚の段階で子宮に戻すと、従来の方法に比べて妊娠率が約2倍になることがわかりました。この方法は胚盤胞移植に比べると、一卵性双生児の発生率の減少、受精卵の損傷などのリスクが少なくなりますが、妊娠率はほぼ同じであります。
この成果は、2005年8月4日から行われた日本受精着床学会にて報告いたしました。当日の読売新聞にも取り上げられました。
2005年8月4日 読売新聞より
読売新聞社の著作物について http://www.yomiuri.co.jp/policy/copyright/
[2005年2月8日]
台湾の産婦人科のチームによる不妊症治療の新しい試みが報告されました。体外受精を何度も繰り返している患者の卵子の中に、本人の顆粒膜細胞(卵子をとり囲んでいる細胞)から抽出したミトコンドリアを注入し、妊娠率が上昇したという内容です。ミトコンドリアは、どの細胞の中にも存在する小さな器官で、体全体のエネルギーを産生する重要な働きを担っています。高齢などで劣化した卵子の中にこのミトコンドリアを追加することにより、新しいエネルギーが生じてきたのであろうと推測されています。
※ 当院でも同実験を開始し、その内容が正しいかどうかを検討しております。
[2004年11月22日]
排卵誘発剤を長期間使用することによって、癌になるのではないかと心配されている患者様がいらっしゃいますが、1965年〜1988年までの23年間、アメリカの産婦人科5施設で12,193名の治療患者について調査したところ、クロミフェン(セロファン)、HMG(排卵誘発剤の注射)の使用について、量や期間によって乳癌の危険率を上昇させるものではないとの報告がありました。食生活が欧米化し、乳癌による死亡率は増えていますが、排卵誘発剤が乳癌の一因にはならないので、ご安心ください。
[2004年10月1日]
多嚢胞性卵巣の患者様は、スプレキュアなどのGnRHアゴニストでの排卵誘発法では、多数の卵胞ができるために、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)になることが多くなります。そのため、排卵誘発周期に胚移植ができず、全胚凍結となり、自然周期に移植することになります。
GnRHアンタゴニストを使用すると、卵胞の数が減り、卵の質の低下もしないため、多嚢胞性卵巣の患者様でも、OHSSになる頻度が減り、排卵周期に胚移植しても従来の妊娠率が期待できます。(GnRHアゴニストの妊娠率:27.5%[11/40] GnRHアンタゴニストの妊娠率:39.2%[20/51])
[2004年9月24日]
現在、当院で体外受精の治療を受けている患者様や、他院で治療を受けたのち当院へ初診で来院された患者様(262名)を対象に、アンケートをお願いしました。先日行われた日本不妊学会のシンポジウムで、当院の粟田医師がその結果を発表しました。以下のグラフはその結果の一部です。
アンケートの結果より、患者様の立場からは、治療にかかる費用に関する要望(グラフ内では緑色で示す)がかなり強いことがわかりました。その他の回答としては、「産科と婦人科(不妊症)を分けてほしい」「着床前診断の認可」などがありました。
今後の日本におけるART治療施設に対して強く望むことは?(複数回答可)
[2004年7月23日]
クロミッド誘発人工授精は子宮内膜症合併症例を除いては、4回までの限度を設けた方が良いようです。4回で不成功であれば腹腔鏡(ラパロスコピー)の適応が好ましいでしょう。
年齢30歳以上、精子性状軽度不良、卵胞数3個以下の人では、5回目か6回目のAIHが必要になることもあります。
また、卵管因子のない子宮内膜症合併例でも、HMG注射人工授精の3回目までで60%近い妊娠率を得ることができたとの報告がありました。(2004年7月10日勉強会 Fertility and Sterility 2003年11月号より)
[2004年7月9日]
体外受精・胚移植において排卵誘発を行う場合、月経周期3日目の血中FSHの値が比較的高値になっている症例では、卵巣内の卵子の蓄えの低下が推測され、少数の卵胞しか発育しないことが多く、妊娠率も低下します。
このような症例について患者さんによく説明し、治療の継続については患者さんの希望を尊重して判断すべきです。FSHの値のみで一方的に治療をキャンセルすることは望ましくありません。(2004年7月3日勉強会 Fertility and Sterility 2004年6月号より)







