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妊娠重症悪阻(つわり)

 妊娠重症悪阻(つわり)は、自然現象です。但し、その程度が強くなりますと食事がとれず、全身の体力を消耗し、入院・点滴が必要となる場合もあります。しかし、ほとんどの場合が1ヶ月ぐらいで改善します。但し、多胎の場合や高齢の場合の方には、この症状が強く出て、長期に続くこともあります。

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妊娠中毒症

 妊娠中毒症とは妊娠中、特に20週以降に高血圧・蛋白尿・浮腫(むくみ)などが現れる病気で、その基本は、腎機能障害・高血圧です。ほとんどの症状が、妊娠の中期・後期から出てきますので、妊娠初期より、特に肥満・高血圧・腎機能障害などの基礎疾患を持っておられる方は十分注意し、カロリー制限、塩分制限などの注意をされることが重要です。
 特に、不妊症治療を受けられる方には、高血圧・高齢・肥満・内分泌障害などの症状をもつ方が多く、このような方が妊娠することにより、妊娠中毒症を増悪させかねません。
 また、夕方の浮腫は女性にはよく見られる症状かもしれませんが、起床時に目の周りの浮腫・足の浮腫を見つけたときには、心臓・腎機能などに障害がある場合が多く、内科的検査が必要です。

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子宮外妊娠
子宮外妊娠
子宮外妊娠

 子宮外妊娠は、本来ならば子宮内に着床すべき胚が子宮の外(ほとんどが子宮の卵管、特に卵管の入り口に近い膨大部というところ)に付着するためにおこります。
 妊娠6週になっても子宮内に胎嚢がみえず不正出血を伴う、さらに子宮内に出血が増えても、尿中の妊娠HCGホルモンの値が下がらない場合には、この子宮外妊娠を強く疑い、腹腔鏡検査の確定診断が必要になります。
 卵管が破裂することによって、腹腔内に大量出血し、生命の危険がおよぶということも、稀にありますので注意されて下さい。また体外受精の場合には、子宮内と子宮外に同時妊娠するということもあり得ますので、子宮内に胎嚢が見えたからといって、子宮外妊娠はないと断定できないということも覚えておいて下さいね。

原因

 子宮外妊娠は、出血性ショックを引き起こす可能性のある妊娠初期の代表的救急疾患の1つですが、その発生頻度は近年増加傾向にあります。
 その原因として、体外受精を含めた不妊治療の普及とクラミジアを含めたSTD(性行為感染症)の増加があげられています。自然に発生する子宮外妊娠は、0.5〜1%の頻度といわれていますが、体外受精による子宮外妊娠は2〜3%(日本産科婦人科学会による)の頻度で起こります。
 年齢に関しては、自然に発生した子宮外妊娠では20歳代から30歳代前半が多いのに比べ、体外受精による子宮外妊娠では30歳代後半にピークがあります。また両者とも初妊娠に頻度が高くなっています。
 部位別では、卵管妊娠が最も多く、稀に腹腔妊娠、卵巣妊娠、頚管妊娠が生じます。これらの部位を症状発現前に判別することは非常に難しく、子宮内子宮外同時妊娠もみられるため、確定診断を得るためには、腹腔鏡検査が必須となります。この腹腔鏡検査がなければ、正確な診断がつけられず、卵管が破裂してショック状態となり、救急車で運ばれるということはよくあることです。当院でも、問診、内診、ホルモン検査、エコー検査等を行い、少しでも子宮外妊娠が疑われる場合には、全員に腹腔鏡検査をおすすめしております。
 子宮外妊娠の原因としては、卵管内炎症や卵管周囲炎による卵管周囲の癒着、狭窄、屈曲などが存在し、卵あるいは受精卵の輸送機能に異常が生じるから起こるのではないかといわれています。当院での臨床統計では、このような卵管因子が原因となるものは約65%でした。特に卵管に水が貯まる卵管水腫はこのうちの半数を占め、注意が必要と思われます。子宮内膜症やクラミジア感染症の合併も多くみられ、このような疾患から生じた卵管周囲の炎症とも強い関連があるのは間違いないようです。また、子宮外妊娠は再発することが知られており、他院で保存的に治療されたものが再発したという例も少なからずみられました。以前に流産や中絶の既往のある方、腹部疾患による開腹の既往のある方も、危険因子となります。更に、体外受精による子宮外妊娠を詳しく調べると、移植した授精卵の質からは、原因となるものはみられませんでしたが、染色体異常を指摘する報告もあります。胚移植時の子宮内膜はかなり薄い症例が多く、子宮筋腫や腺筋症を合併する例もみられることから、子宮因子の関与の可能性も否定できないようです。以上より、様々な発生原因が考えられますが、これらを詳しく検討し、対策をとることで、子宮外妊娠を少しでも予防することができると思われ、現在臨床研究を続けているところです。

診断
+----- 妊娠6週まで -----+
  • 不正出血と軽度の下腹部痛
  • 尿HCG半定量で上昇傾向
  • エコーで胎嚢が見えない → 子宮外妊娠の疑いがあり、厳重に経過観察
    (症状が強い場合は腹腔鏡検査を行いますが、妊娠7週前の破裂は殆どありません)
+----- 妊娠7週以降 -----+
  • 不正出血と軽度の下腹部痛
  • 尿HCG半定量で上昇傾向
  • エコーで胎嚢が見えない → 子宮外妊娠の疑いが強く、腹腔鏡検査
    (子宮外妊娠が確定すれば開腹手術を行います)
  • エコーで腹腔内出血の所見 → 腹腔鏡検査
  • エコーで子宮外に胎嚢が見える → 開腹根治手術
治療

 治療については、手術療法、薬物療法および両者の併用療法等がありますが、当院では、薬物による副作用の防止、治療後の子宮外妊娠再発防止、癒着防止といった観点から、根治的手術療法を行なうことを原則としています。

+----- 当院での開腹根治手術 -----+
  • 卵管基部からの患側卵管切除術(腹腔鏡下での根治手術は困難)
  • 対側に卵管周囲癒着、卵管水腫を認めれば、対側卵管基部結紮術(間質部妊娠の防止のため)
  • 子宮内膜が厚い場合は、子宮内容除去術→ 病理組織

 手術後の子宮外妊娠の再発を防ぐため、上記の処置を十分に行います。
 当院での子宮外妊娠の手術後、不妊治療により正常妊娠、出産に至った方は40%になります。子宮外妊娠になったからといって、希望を捨てず諦めずに治療を続けていただきたいと考えています。

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早産
子宮収縮が起こり、おなかが痛くなる 子宮頚管が開き始め、血性のおりものがある 卵膜が破れ、羊水がもれてくる。(前期破水)
早産

 不妊治療される女性の中には、子宮筋腫や子宮内膜症などの基礎疾患がある方が多く、その背景の中で妊娠することにより、早産の危険性は高くなります。さらに、双胎や高齢などの条件が加わると、さらに早産の率は高くなります。子宮内での発育については、原則的に10ヶ月を目標としますが、現在では未熟児医療の技術が向上しており、30週未満でも元気に育つことがあります。最近では、子宮内での発育の状況があまり思わしくない場合には、無理に長くとどめず子宮外に出し、NICU(未熟児集中治療室)にお願いする方が、かえって赤ちゃんの予後が良いということもあります。
図左:子宮収縮が起こり、おなかが痛くなる。
図中:子宮頚管が開き始め、血性のおりものがある。
図右:卵膜が破れ、羊水がもれてくる。(前期破水)

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流産
切迫流産
図1:稽留流産
進行流産
図2:進行流産
完全流産
図3:完全流産

 自然妊娠でも10〜15%は、流産すると言われております。体外受精などの人工的な治療を行った場合の流産率は約20%になり、少し高くなります。その原因は、ほとんどが胎児側にあると言われており、胎児側の染色体の異常が主な原因だということがわかってきております。今まで言われたように、妊婦さんが無理をしたとか、おなかを冷やしたとか、安静にしなかったことが直接の原因になるということは少ないと考えられています。ですから、体外受精をした後は、無理に安静にする必要は原則的にはありません。いつもどおりの日常生活をされてもかまいません。

切迫流産

 流産が差し迫っている状態で、下腹痛や出血などがおこります。しかし、胎児(胎芽)が生存している場合があるので、妊娠は継続できることもあります。経過が良い場合は正常妊娠状態に回復します。

稽留流産

 一般的には、子宮内で胎児(胎芽)が死亡すると不正性器出血や下腹痛など、子宮内容の排出の症状が起こります。しかし、稽留流産の場合、子宮内で胎児(胎芽)が死亡しているにもかかわらず、このような症状が出現せず、子宮内に停滞してしまいます。

進行流産

 性器出血や下腹痛が強く、流産(妊娠の中絶)が避けられない状態まで進行している状態をいいます。妊娠の継続は不可能になります。

不全流産

 妊卵やその付属物の一部のみが子宮外に排出された状態をいいます。一部はまだ子宮腔内に残存しており、子宮出血や下腹痛が起こります。

完全流産

 妊卵やその付属物のすべてが子宮外に排出された状態をいいます。

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常位胎盤早期剥離
外出血 内出血
常位胎盤早期剥離

 通常の出産では、胎盤は胎児が出産後に剥離して娩出されます。この機序が正常におこらず、胎児が出産前に胎盤が早期に剥離する状態が常位胎盤早期剥離です。胎盤が剥離することにより胎児への酸素や栄養の補給が中断することにより重篤な危機に陥ります。ほとんどが妊娠末期におこります。分娩近くに、陣痛もなく下腹痛と出血が急激に出現した場合には、この疾患をまず考えなければなりません。
 子宮内に多量の出血を伴うこともあり、早期に帝王切開などの処置をほどこさないと、母児共に危険な状態となる場合があります。ほとんどの症例は、妊娠中毒症などの合併症基礎疾患がありますが、何の前触れもなく、下腹部の痛みや外出血などで突然起こる事もあります。

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多胎妊娠
多胎妊娠
多胎妊娠

 人間は単胎動物ですから、本来胎児の数は一人が自然です。しかし、不妊治療をすることによって、多胎妊娠の率は15〜20%と、高くなるのが現状です。体外受精では、初産婦さんの際には戻す胚の数は3個以下となりますので、どうしても15〜20%は双胎となってしまいます。三胎以上はほとんどありません。経産婦さんの場合には、戻す数を原則2個以下としますので、多胎率は減ります。最近、培養液の改善・長期培養などの効果で戻す胚1個あたりの着床率が高くなっており、移植する胚の数は減少傾向にあります。その結果、多胎妊娠の発生率も減少してきております。
 双子まではある程度、安全に出産可能ですが、三つ子以上の場合には、出産に伴うリスクはかなり高くなります。減胎手術という方法がありますが、日本では現在のところ正式には認められておりません。しかし、低身長・子宮筋腫術後・帝王切開術後などを合併されている場合には、妊婦さんの安全のためには必要と考えられる場合もあります。
 多胎妊娠は、その経過においてより高いリスクを伴い、妊娠中期以降はより注意深い産科管理が必要です。妊娠5ヶ月で子宮の入り口を縛る(シロッカー)手術や、妊娠30週ぐらいからの早期入院がすすめられます。妊娠中毒症などの妊娠合併症の発症率は高くなり、帝王切開による出産が高くなります。このようなこと充分に納得したうえで出産に望まれることが重要だと思います。

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クワトロテスト

 当院での妊婦の約10%は、35歳以上であり、不妊治療による妊婦に限るとその比率はかなり上昇しています。羊水検査は、針を母体腹壁から直接子宮内へ穿刺して、羊水を吸引する「侵襲的」な方法であるのに比べて、この方法は母体の採血のみで済みます(非侵襲的)。しかし、この検査は、あくまでもハイリスク群を抽出するためのスクリーニング検査であって、とうてい確定診断とはなり得ないものであることを理解しておく必要があります。また双胎の場合には、個々の胎児に対しては、リスク値を算出できず、またデータの集積もまだ不十分です。この方法でもし異常が高い診断された場合には、羊水検査が必要となる場合もあります。
 検査は15週〜18週に行っています。21トリソミー(ダウン症)の他、18トリソミー、神経管閉鎖障害のリスク値を算出します。母体の年齢や体重、人種などでも修正します。検査項目は、近年3種類(α-FP、HCG、非結合型エストラジオール)から4種類(インヒビンAが追加)に増えました。(「トリプルマーカー」から「クワトロテスト」に名前がかわりました) 判定方法は、例えば「ダウン症」であればリスク値1/295を境界としており、それよりも確率が高いと判断された場合には「陽性」という判定になり、さらに羊水検査を行うことをすすめるという方針です。しかしその場合でもダウン症の生まれる確率は約0.3%であり、患者本人が誤解することのないように充分説明することが必要です。
現在、厚労省では、医療施設側からこの検査を勧めてはいけないとの見解ですが、本人自身が希望した場合には、その限りにありません。また金額は、2〜3万円(自費)です。

(ご協力:ジェンザイムジャパン株式会社) 

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羊水検査

 胎児染色体異常(や遺伝性疾患)を診断するために、ご本人の希望があれば妊娠中期(16週〜18週)に行います。超音波を見ながら母体の腹壁から針で子宮を貫いて、羊水を約20ml吸引します。染色体検査を行いますが、結果まで約2〜3週間かかります。ほぼ100%に近い精度で、染色体検査の結果が得られます。
 染色体の異常が判明しても、異常そのものを治療することはできません。そのような結果がでた場合に、夫婦がどのような選択をするのかによって、羊水検査を行うことの必要性も変わってきます。よく検討した上で行うべきでしょう。
ダウン症などの染色体異常は、女性の年齢の上昇とともに、その頻度は増加します(30歳まで1/400〜500、35歳で1/200〜300、40歳で1/100、45歳で1/25くらいと考えられています)。体外受精や顕微授精などによる明らかな増加傾向は認められていません。
 また羊水検査そのものによると思われる流産、子宮内胎児死亡などの可能性も、1000例につき2〜3例あるといわれています。術者の経験や技術も多少影響します。
 染色体異常には、21トリソミー、18トリソミーなど以外に、「クラインフェルター症候群(47XXY)」「ターナー症候群(45XO)」などのような性染色体の異常もあります。
 費用は施設によって異なりますが、単胎の場合で約8万円(自費)、双胎で15万円(自費)くらいです。

(ご協力:ジェンザイムジャパン株式会社) 

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3D超音波

 3Dとは立体的画像の超音波です。一般的に超音波は平面画として映りますが、この3Dは、表面のくぼみや高さなどの立体感を映し出す方法で、胎児の顔の表情や体表奇形などを早期に発見する確率が高くなるという効果もあります。

3D超音波写真と動画
3D超音波画像(クリックすると再生します)

エコー写真と三次元超音波写真
胎児の顔
体・手・足
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